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「あ…ぁ」
声が震える。手も足も全身が恐怖をその身に感じていた。私の口は、上手く言葉にできない嗚咽がただただ溢れるだけだった。
「…脅かすつもりはない。お前はここで普通に過ごせばいい。」
その目と裏腹に優しい手が私の頭を撫でる。
…ふふっと少し笑ってしまう。
「…何だ」
「貴方ってたまに怖いのに、それでいて優しいから…変な人」
「俺は優しくない」
「ううん、優しいです。少なくとも私にとっては貴方は良い人ですよ」
そんなことを言うとまた彼はさっきと同じ苦虫を噛み潰したような表情をした。それがなんだかおかしくって「ふふふっ」と笑ってしまう。優しいんだか怖いんだか、わからない人だ。
その後彼からこの家でのルールを聞かされた。
「まずこの家にあるものは何を使っても構わない。
シンガポールのお前の荷物は全て押収した。だが通信機器の類は全て没収だ。
それとこれが一番大事______
この家からは絶対に出るな」
「え…なんで…」
最後まで言う前に私のこめかみに当てられた拳銃がそれを遮った。
私の喉がヒュッと鳴る。
「出たらお前を殺す。」
あぁ、またこの恐怖心だ。でも不思議と絶望は感じない。この感情はなんだろう。
「貴方本当に私に惚れてるんですか?」
「は?」
「さっきから…その、私を苦しめるような条件しか提示していないじゃないですか。これで惚れろと言われても…」
「……」
墓穴だったようだ。彼は自分でも驚いたような顔をしてる。きっとそういう人なんだろう。人の愛し方を知らない、そんな人。
彼は今困ってしまってる。私は無意識に彼の体に腕を回し抱きしめた。
子供をあやす母のように。
「…条件を受け入れます。
でも私からもお願いを一つ聞いてくれますか。
必ず帰ってきてください。私が寂しいと思う前に帰って会いに来てください。顔を見せるだけでも良いから。」
私だって人の温もりを感じたいと思う。
「_____容易いな」
(俺だけのものにしたい_____)
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しのはら(プロフ) - 明里香さん» また後日直します。わざわざありがとうございました。 (2019年6月15日 20時) (レス) id: 7f2dfd99c3 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 137話にも誤字がありました。「息の根を引き取った」ではなく、「息を引き取った」です。 (2019年6月15日 18時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 136話に誤字がありました。「本人に入ってない」ではなく、「本人には言ってない」です。 (2019年6月15日 18時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
しのはら(プロフ) - ゆーきさん» なぜに笑すきだと言ってもらえるととても嬉しいです!ありがとうございます(^-^) (2019年6月3日 23時) (レス) id: 7f2dfd99c3 (このIDを非表示/違反報告)
しのはら(プロフ) - 明里香さん» 明里香さんたくさんのご指摘ありがとうございます。降谷姉の会えない日々、×されない日々はすぐに直してきますが、囚われの方は更新と一緒に直します。多く間違えててすみません汗 (2019年6月3日 19時) (レス) id: 7f2dfd99c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しのはら | 作成日時:2019年5月25日 7時