降谷姉の弟に会えない日々【降谷零】

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「Aさん、警察に被害届を出さないんですか？」



「…出しません。私は絶対芸能界に復帰します。

警察を通すと必ずと言っていいほどマスコミに広がってしまう。それは避けたいんです」



「…ですが」



「言わないったら言いません！」



沖矢さんが心配してくれてるのはわかる。
でも、悲劇のヒロインとして舞台復帰するのは嫌だ。

ありもしない武勇伝を語られ、期待に胸を潰されそうになる、そんな彼を私は見たから。

私は、事件など関係なしに私の演技を見て欲しいから。



「………わかりました。

ですがご家族には相談された方がいいのでは？言える相手が増えるだけで心は格段に軽くなります」


家族……


家族………


零くん



今どこで何をしてるの？



「家族は、れーくんだけ…

親はとっくの昔に他界しています」



「………れーくんとは？」



「私の大事な弟…です。

7年前から会えてませんけど…」



言っちゃって、大丈夫だったかな。
…大丈夫だよね。だって沖矢さんはただの大学院生だし…



「！……なるほど」



「それと、この件は毛利さんに依頼済みです。あの有名な眠りの小五郎なら…きっと…」



「毛利、毛利小五郎さんですね？」



「えぇ」



「なら大丈夫。ストーカー犯は捕まりますよ」


なんの確証があるのやら。
沖矢さんの口角は卑しく上がっていた。

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