涙の跡にキスを 2【青】 (ページ10)

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悪いことしよう

悪いことってなんだろうか。

服は脱がされずに済んだけど彼が私に触れていく。
首筋や耳にキスをする彼の服をグッと掴むと彼は私の方をちらっと見て首に擦り寄ってきた。

悪いことはしたと思う。

したからバチが当たってあんなことになったのだろう。

眞霜さんはこの人に何を伝えたのだろうか。
私があそこに居た時のことを話しただろう。

それを聞いてこの人は私だけを信じるよと伝えたのかな？

『俺がいるから怖くない』

うん。怖くない

サボろうって初め聞いた時怖かったけど

「A」

「？はい」

「な？怖くないだろ？」

ひとりじゃないから怖くない。

あまりにも渡辺さんが優しすぎていつもの厳しさもないので少し緊張する。

この人と関係を持って大丈夫なはずなのに
それでも変な緊張をする。

「…あの」

「ん？」

「……この前のデート嬉しかったです。

映画みたり、お話したり

私お礼を伝えていませんでした。」

そう話すと彼は私から離れて私の左手を握ってこっちを見る。

無言だから怒られるかな

私また変なこと言ったかな

「お礼とかいい。

付き合ってんなら普通だろ」

さっぱりストレート

…この人飲み物で表すとストレートティーだよね。
無糖な

黙って聞いていたけど彼の方に自分から近づいてみた。
私が彼に体を預けてきた為彼は黙って受け止めた。

「…あのさ、椅子に背もたれないんだけど」

「……」

「無視かよ」

「…1分したら離れます」

「ん。」

時計の針の音が部屋から聴こえる。

60回この音がしたらかと思ったがチラッと時計を見ながら彼の胸に頭を当てた

…1分なんてあっという間で直ぐに秒針が一周した。

頭を離して立ち上がろうとしたら突然彼が私の後頭部に触れた。

キスするのかな？

触れようとした時突然彼の携帯の音がした。

電話だ

「チッ、誰だよ」

舌打ちした

意外だなと思い見ていると彼が電話に出る。

「はい」

声が聞こえるが明るい声だな

「すぐ戻ってくる」

呼ばれたのか。

いや、探されてるよね？これ
だってここにいるって誰も知らないし

電話中の彼から離れて1人床に足を着く。

…痺れもなくなってるし大丈夫だ。

「うん。え、それはさちょっと待って
俺も確認する」

資料確認かな

彼の方を向いて1度頭を下げると私はドアの方へと向かった。

先に行ってた方がいいかも

ドアに触れようとしたら後ろから彼が走ってきた。

「話が違うだろ」