涙の跡にキスを 2【青】 (ページ8)

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息出来ない

床に座り込んでしまった

足の感覚も…なんか手も痺れて

目の前にいる向井さんが何かを伝えている「呼吸して」かな

無理だよ

無理だよ

周りに人も集まってきたのに
呼吸しないと息しないと

なのに

その時、声が聞こえてきて目の前にいた向井さんが後ろを振り向いた。

…誰？

その人は私の目の前に来るとしゃがんで同じ目線になった

…あ

「A、呼吸しよう」

あの人だ

「、」

したいのに出来ない

感覚が鈍くなってきた手を動かすと彼が私の手に触れて抱き寄せた

「大丈夫、大丈夫」

「っ、ん」

「Aさん」

何で名前？

彼の方を見ようとしたら彼が私のおでこにキスをした。

なんで？

「落ち着いてきた

少しずつ少しずつ

…息吐いて、吸って」

苦しさから少しずつ解放される感じがある

彼の手に触れて彼の胸に倒れ込むと私の体を支えてくれた。

「…過呼吸か」

「…っごめ、ん」

「謝らなくていい。
俺が悪かった。…何処にも行かねぇから」

「…、どうしようっ…て」

「……どうしようって
俺は薄情な奴じゃねぇし

……ちょっと俺とお話しようか。」

彼は私の身体を抱き上げるとそばに居た向井さんに「悪かった」と言って歩き出した。

何処に行くのか分からない

彼が立ち止まったので顔を上げると倉庫と書いてあった。

…倉庫

「寒いけど我慢」

そう彼は私に言うと少し微笑んでドアを開けた。

…微笑むんだ

倉庫の中は暗かったが彼が灯りをつけて近くにあった椅子に腰かけた。

え…この状況

私膝の上に乗った状態じゃ

「落ち着いた？」

「…はい」

「苦しかったね」

「……すみません。」

「ん？」

「…迷惑かけてばかりで」

ずっと彼に迷惑かけてばかりだ。

謝ると彼は私を抱き寄せて少しキツめに抱きしめた。

「、あの？」

「…倒れた聞いて……焦ったぁ」

「…え？」

「…変なやつに殴られて腹たってる時に
あんたが倒れた聞いて…ヒヤヒヤした。」

殴られた？

彼の方をよく見ると口の端に血の跡があった。

…怪我したんだ

「痛くないんですか？」

「痛くない
あんたは？」

「私は大丈夫です」

「…心は？」

「え？」

「過呼吸なるほど怖かったんだろ」

彼は優しい口調で言うと私の方を見る。

彼は何を聞いたんだろうか

「…あの」
「ん」

「眞霜さんにお会いしましたか？」

「…さぁ化粧のケバい女性にはあったかな」

それって
そうですよね？