涙の跡にキスを 2【青】 (ページ7)

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部署に行くと彼は居なかった。

どうしよう

「、あの」
「ん？」
「っぁ、渡辺さんは？」
「あー、専務に呼ばれて何処かへ行ったよ」

どうしよう

「え、顔色悪けど大丈夫？」
「だ、大丈夫です。すみません」

どうしよう

先輩から声を掛けられたけど部署を出た。

どこ行ったのかな

もしも眞霜さんに出会っていたら

どうしよう

どうしよう

『貴女みたいな人に相応しくないわよ』

どうしよう

あの時のことを思い出す。
あの日、綺麗な部屋に呼ばれて目の前に彼女と社長と

相応しくないのぐらい分かっているよ

でも

どうしよう

部署を出て彼がどこに行ったのか探していると目の前に向井さんがやってきた。

「ちょちょ、大丈夫か！？」

「っ、向井…さん？」

「え、冷た！？
どないしたん。顔真っ青」

「…あの人、」

「翔太くん？
見てないわ。」

どうしよう

あの人が居なくなったら

眞霜さんが出会っていたら

「っ、ぁ」

どうしよう

突然声が出なくなって呼吸が出来なくなった。

怖い、

向井さんの声がぐぐもって聴こえる。
どうしよう

向井さんが私の手に触れて何か言っている。

焦った表情なのは分かるのに何を言っているのか理解できない。

怖いよ

苦しい

助けて

女性が話す言葉を聴いているが意味分かんない

「渡辺さん」

「はい？」

「…どうですか？私とお食事にでも」

綺麗なマニキュアした手だな。
髪もしっかり巻いてるけどもう少し黒っぽい色の方が合うだろ。

「申し訳ありませんが私そういうの苦手でして」

ソファから立ち上がり女性を見ると少し困惑した表情だった

「じゃあ、帰っていいですか？
ニエベカンパニー社長の眞霜さん」

「…貴方私の事知ってたの？」

「えぇ、取引先なので。
では」

ドアの方へ向かおうとするとスルッと俺の腕に抱きついてきた。

「ねぇ、貴方に相応しい相手を彼女にした方が貴方の為じゃない？」

「離してくれませんか？
化粧がケバい人に興味はないんですよね」

そう声をかけるとカッとなったのか頬をぶたれた。

…いった

口の中少し切ったな

チラッと女性の方を見ると俺の方を睨んでいた。

「うーわ

怖っ」

「貴方何なの？」

「そちらの方こそ急に抱きついてきて何？」

その時ドアが開いて男性が走ってきた。
…総務の人か

「あれ、専務は」

「さっき外に出たけど？何？」

「あ、渡辺さんあの企画課の宇原さんが倒れて」

は？