涙の跡にキスを 2【青】 (ページ6)

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営業課の会議室で2人向かい合って座る。

何かあったのかな

というのも佐久間さんと2人で話すことってあまり無いかもしれない。

「…あの」

「Aさん」

「はい」

「今ニエベの娘さんがここの会社に来ているの知ってる？」

「え？いいえ」

「…だよね」

それはどういう事だろうか。
佐久間さんも今知ったって感じなのかな

…やっぱりあの車見間違いじゃないのか
あの時車を見たけど…まさか

佐久間さんの方を見ると佐久間さんは私とは目線を合わせてくれない。

「…佐久間さん」
「噂だよ。噂」

渡辺さんが危ないかもしれないと思い席を立ち会議室を出ようとしたら佐久間さんが腕を掴んで引き止めた。

「どこ行くの？」

「、止めないと」

「あの社長令嬢止めるのは無理だよ」

「でも私は！」

大きな声が出た途端向井さんがドアを開けてきた。

「なんや、どうした」

「康二なんも無い。ちょっと転びかけただけ」

佐久間さんは何故止めるのかな
私、もうあんなことなりたくないのに

「…失礼します」

佐久間さんの手を離して私は急いで部署へと戻った。

Aが佐久間に呼ばれてすぐ何故か専務が俺の所に来た。

「渡辺くんちょっといいかい？」

何かやらかしたか？

懇談会参加してなかったから？
そう思いながら後ろを着いていくと応接室に着いた

ここ、社長とかが使う部屋だよな

「失礼します」

中に入ると1番奥のソファに女性が座っていた。

…派手な化粧だな
綺麗な口紅をつけ白いスカートに赤いヒールの高いピンヒール。

何歳だ？

「初めまして」

ニコッと微笑む女性は凄く優しそうな笑みを浮かべていた。
……清楚と見せて派手な奴だな

ていうかその白いスカートに赤いヒールは合わない。
なんなら、その口紅よりも少し薄い口紅で
肌のファンデーションももう少し濃ゆいほうが肌にあっている。

専務の横に立ち女性に会釈をすると専務が俺の方に手のひらを向けてきた。

「眞霜さん、この方が渡辺です」

眞霜…

聞いたことある苗字だ

「そう。お会いできて光栄です。渡辺さん」

Aとは違う化粧の派手な女性が俺の方を見て微笑み
目の前の席に座れと促す。

なるほど

「失礼します」

「私、貴方にいつかお話したいと思っていたの」

「そうですか。私に何か？」

「貴方の部下である宇原Aについてね」

あぁ

なるほどな

あの子の怯える過去についてこの人は知ってるのか

「へぇ、どうぞ？」