涙の跡にキスを 2【青】 (ページ2)

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狭いベッド

…絶対に来客用の布団買おう。

彼の腕の中にいるけどさっきよりポカポカして暖かい。
彼は目を瞑りまた眠ってしまった。

よく寝れるよ
緊張しないのかな

私だけなの？
こんなに緊張しているのは

「早く寝ろよ」

「、起きてたんですか？！」

「モゾモゾ動かれると寝れない」

それはごめんなさい

「…あの、私リビングで寝ますよ」
「はぁ？」
「……なんか緊張して眠れないんです」
「あっそ」

あっそって酷い人だな。

何も言わない彼を見てベッドから出ようとしたら腕を掴まれた。

「俺も緊張して寝れないから起きて朝どこ行くか考えよう」

「…寝れないんですか？」

「好きな人と同じベッドで寝るって緊張するでしょ」

やっぱり緊張するんだ。

少し彼の方を見て目を瞑っていたのでそのまま彼の胸に触れて私は体を起こした。

私が離れると彼は目を開けて私の方を見た。
…眉間にシワが寄ってますよ。

どちらも何も言わない。

ただ無言

「…なにか話せよ」

「…前回は私が行きたいところに行ったので今回は貴方の行きたいところに行きたいです」

「無理難題すぎるんだけど」

そう言った彼は枕に顔を埋めて黙ってしまった。
無理難題

……そりゃあそうか、急にこんなこと言われたら迷うよな。

「…すみません」

そう呟くと彼はムクっと体を起こした。

そして、私の方を見ると私の後頭部に触れてグッと抱き寄せるとそのままベッドに横になった。

…？？？

突然の事に驚き声が出ないでいると彼はリズム良く背中をとん、とんっと叩いた。

「あ、あの」

「俺朝弱いから朝は遅いよ」

「え、はい」

「…俺インドア派だからなぁ

カフェ行ってまったりするか。普通にショッピングモールブラブラするか」

意外な人だな

インドア派にも見えないけど

「な？幻滅しただろ？」

「え？」

「仕事では酷いこと言うけど
俺、こういうの無理だしさ」

いつもより静かな声の彼に驚き顔を上げると目が合った。

少し困った感じだな

「…幻滅してないです」
「嘘つけ」
「嘘ついてないです。
……貴方が笑顔なら私はそれでいいので」

私は貴方が楽しいと思えるならそれでいい

渡辺さんは私の頬を撫でるとキスをした。

1度キスをして離れる彼の手に触れて自分からキスをすると彼は「かっこよすぎでしょ」と言ってまた唇を塞いだ。

真夜中の部屋は静かだ

時計の針の音しか聞こえない

仕事の時は無理だから

この時だけは貴方を独り占めさせて