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顔を上げるのが怖くて革靴を見ているとその革靴の持ち主は私の右隣に座った。
少し離れようかどうしようかと悩み少しだけ左に動くとスーツの裾をキュッと掴んできた。
「あの」
そう声をかけるが彼は何も言わず黙っていた。
「…先程はすみませんでした」
頭を下げて岩本さんの方を向いて謝る
何も返事がないのでやらかしたと思っていると自分の首の後ろに触れる感じがした。
その感じはツーっとゆっくり首の後ろから顎の方へと移動する。
何だろうかと思う焦りと緊張で黙って下を向いていると人差し指でなぞっているのが分かった。
「妹ならこんなことはしない」
え?と思い少しずつ顔を上げると岩本さんは目を細めて私の方を見ていた。
「矢笠さんは悪くない。
逆に、俺が矢笠さんを傷つけたから俺が悪い
だから、ごめんね」
岩本さんの言葉を聞いているといつの間にか指は離れていた。
「あ、いえ!
あの、岩本さんは悪くないです。
私がそう考えてしまった事が悪いので」
これじゃ、埒が明かない。
「岩本さん!」
岩本さんの方を見ると岩本さんはビクッと驚いていた。
「な、何?」
「あの」
あの、と言ったが言うことを決めてなかった。
何も考えついてないのに話すなよ
あのと言った後黙ってしまったのでどうしようと考えていると岩本さんは自分の頬を少しつまみながらこっちを見ていた。
「…何ですか?」
「ん?矢笠さん」
「はい」
「俺とさ」
「課長ー!緊急の電話でーす!」
岩本さんが話そうとした時会社の方から声がした。
声のした方を見ると窓の所から営業課の社員さんが手を振って教えていた。
「岩本さん急いだ方が」
「…うん。
じゃあ、また後で
Aさん」
「…え?」
隣を見た時にはもうそこには居なくて
会社の方へと走っていた
…今名前を呼ばれたような
いや、まさか
そんなわけない
手元にあった飲み物の蓋を開けて飲む
ひゃっとした風が私の頬をなぞる。
秋が冬に変わる
それなのに私の頬は熱くてまだ夏なのかというぐらい汗が出そうだった。
会社の方へ走る。
自分の足音と通り過ぎる風の冷たさしか分からない。
タイミング悪っ
何を言おうとしたのか俺には分かる。
会社の中に入り1課の扉を開ける。
「はぁ、はぁ」
「課長!外線2です」
「、うん」
熱い
なんの熱さだろうか
走ったからか?それとも
「はい、お電話変わりました」
君の事を好きになったからか
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ハル春(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。更新が1ヶ月近くなく待たせてしまいすみません。ようやく話も形になってきたので続編が完成しました!素敵な話になるようこれからも頑張っていきますね! (2022年5月28日 8時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - 名前さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまいすみません。照れてしまいました。私はまだまだ自分の書き方は駄目だと思っているので日々精進しかないなと思っていますがそう言って下さりとても嬉しいです。ありがとうございます。これからも頑張っていきますね (2022年5月28日 8時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - くみさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまいすみません。早く気づいて!となんかハラハラしますよね。彼ら二人が幸せになるよう頑張って更新していきますね。 (2022年5月28日 7時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - orzさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまいすみません。お金で買えるもの買えないものあるんだぞ!って言いたくなりますよね笑。書きながら思う時あります。これからも更新頑張っていきますね。 (2022年5月28日 7時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - るなさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまいすみません。主人公さんがあまりにも悲しいと書きながら思ってしまいます。早く幸せになるよう頑張って更新していきますね! (2022年5月28日 7時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル春 | 作成日時:2021年10月18日 0時