お見合い相手の岩本さん 【黄】

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まずは走ってみます？と言われ彼の背中を追う形で走る。

久しぶりに体を動かす。


息を吸うと少しだけ冷たい空気が肺の中に入り喉をキュッとしめる。

岩本さん全然ペースも変わらないし苦しそうにも見えないな。

公園の周りを走って少しして立ち止まったので私もやめると肺が酸素を欲するのか肩が上がって息をしていた。


…なんで運動してこなかったんだ。


「はい、よく頑張りました」


膝に手をついて下を向いて呼吸を整えていると目の前に水が

「好きな飲み物知らないからさ」

「…あ、ありがとう、ございます」


手に取り水を飲むと喉が生き返る感じになる。


……生き返ったぁ


「持久力と筋力かな」

「…ご最もで」

「じゃあ、次はそのふたつを鍛えようか」


次？

岩本さんの方を見るとニコッと笑って
なんか、ワクワクしてるというか


「…楽しんでますか？」

「好きな子だから楽しんでる」

「……岩本さんSっ気ありますよね？」

「ないよ？」

いや、あるよ


何も言わずに首を横に振ると岩本さんは笑って私の目線に合わせて屈んだ。


「俺の事知りたいんでしょ？」


「………あ、岩本さん水飲みます？」


「話しをそらさない」


頭に手が置かれて顔を動かしたくても動かせない。

目を逸らしたいのに目が合う為目を瞑って目を合わせないようにする。


手に持っていたペットボトルをグッと持つ


だが、目をつぶっていても一向に何も起きない。

……あれ？


目を少しずつ開けてみると岩本さんはクスッと笑い私の頭をポンポンとした。


「で？俺のこと分かった？」


「…意地悪する人だというのは分かりました」

「なんでだよ」












家に帰って玄関で少しだけ立ち止まる。

…俺のこと知りたいって


あんな健気に言われたら断れない


目を瞑っている彼女を見てもう少し意地悪しようかと思ったけどあまりやり過ぎると嫌われると思って出来なかった。


リビングに行き冷蔵庫の飲み物でも飲もうとしたらメールが来ていた。


そのメール内容を見て咄嗟に急いで電話をした。


「、この前のお見合いで終わりって言ったじゃん」


知り合いがどうしても断れない案件だったらしく
雪田会社の営業課長だし、なんなら上も知っている会社のお嬢さんとか言ってた。


『部長クラスも皆勧めている』


「俺は、今」


この前のお見合いは相手も違う人だったと聞いた



だからなんだよ


「…会社の為ですか？」

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