198 ページ3
目が覚めたらそこは近くの病院で傍には佐久間が立っていた。
「…佐久間?」
俺の意識が戻ると佐久間は物凄い勢いで「心配したんだぞ」とも言ったが叱られた。
「インターンシップ生が居なかったらお前エレベーターの中で倒れたまんまだったんだぞ!」
「…ねぇ、その女の子どこの子?」
「え?」
「…お礼も伝えてないし…ずっと助け呼んでたからさ」
「心配で印刷室近くに行ったら女の子が物凄い焦っていて、助けて下さいって言って
そしたら、俺の相棒倒れているわで驚きよ」
「うん。…それは悪い」
「その子、倒れたふっかをめっちゃ介抱しててさ
名前聞こうとしたら居なくなってた」
「…っ、え」
名前も知らない
年下の女の子
その子の表情はずっと困り顔のままで笑った顔も見たこと無かった。
悪い事をした。
「…また」
また会いたいとどうしても思った。
その後インターンシップがある度に覗きに行ってみたがあの困り顔の女の子は居なかった。
俺よりも年下の身長が俺より小さくて
でも、行動力はあって
緊張して手が震えていたのに必死で
凄く暖かい子
あの声のトーンもあの優しさも
何度も何度も探しても見つからなかった。
その年に来た人の中にその子はいなくて
もう無理かなと思ったし俺も営業課から総務に異動になった。
好きな人や彼女でも作ったら変わるかと思ったが
たった一回しか会っていないあの子のことが忘れられず恋もしなかった。
恋もしなかったというよりもあの子を探す度に
あの子にいつの間にか恋をしていた。
もう居ないのかと思ったその年の入社試験後の新入社員の内定式の際見たことあるスーツで見たことあるカバンの子がいた。
…もしや
「すみません。お名前お聞きしてもいいですか?」
総務の為受付をしているとその子は緊張した感じに答えた。
「伏本Aです。」
この子だ。
声も、その困った表情も
「伏本さんですね。場所は…」
あの子だ。
「…でも、助けた本人は案外忘れてたり、気づいてないんだよね」
珈琲を美味しそうに飲む深澤さん
大学3年生の夏、確かにそんなことがあったが
あまりに緊張していたからか上手く覚えていなかった。
深澤さんは珈琲カップを机の上に置くと私の方に手を伸ばして頭を撫でた。
「…やっとここまでなれたかな」
私の髪に触れる手は優し過ぎて胸が締め付けられるほど暖かい気持ちになる
…好きになって良かった。
6108人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハル春(プロフ) - かのんさん» コメントが遅くなりすみません。名前を間違えるのは確認不足でした。申し訳ありません。教えて下さりありがとうございます。これからはこのようなことがないようにしていきます。ありがとうございます。 (2022年1月18日 0時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 舘ですよ (2022年1月10日 2時) (レス) @page27 id: 2a0671e559 (このIDを非表示/違反報告)
白いウサギ(プロフ) - ハル春さん» いえいえ!こちらこそ読んでくださりありがとうございます!私もスピード遅くて…更新できる時間が少なくて…でも!なるべく早く更新して完結させます!! (2021年6月24日 18時) (レス) id: 95ce4dbd09 (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - 白いウサギさん» ありがとうございます!やっと完結しました。長い間お待たせしてしまいすみませんでした。これからは、もう少し更新スピードをあげていこうと思います。白いウサギさんの小説読みました!凄く続きが楽しみです。応援しています!! (2021年6月13日 22時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
白いウサギ(プロフ) - 完結おめでとうです!初めて読んだ時から続きが毎回楽しみで、早く続き出ないかなぁ〜とワクワクしながら読ませていただきました!私自身深澤辰哉くん推しなので、とても読んでて楽しかった!私、今深澤辰哉くんメインのお話し書いてるので、ぜひ見ていただきたいです! (2021年6月11日 20時) (レス) id: 95ce4dbd09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハル春 | 作成日時:2021年1月15日 20時