君の唇にキスさせて 5 【紫】

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「仕事かぁ」

「…ネットとかで調べるとさ長すぎる春はダメだよとかあって」

「ふっか達のペースでいいと思うけど？」

コテっと首を横にしてどうして？というような表情を浮かべる阿部ちゃん

…まぁ、今付き合って何年かというと…まだ

まだ長すぎる春にはならないよな？

休憩室の机の上に置いてあるカップに手を伸ばして珈琲を飲む


「次はいつ会うの？」

「…またねって言って俺はこっちに帰ってきたから
次どこでいつ会うかはまだ何も話してない」

「まじで？
ふっか、俺が言うのもなんだけど一時は向こうに会えないよ？」

分かってる

「新卒採用の担当さんだからでしょー」

「運良く伏本さんが担当なら会うかもしれないけどね」

「そうねぇ。でも、あの子が会いたいって言ったら俺は夜中でも会いに行くかな」


時計を見ると休み時間が終わりそうだった為ドアの方に向かうと阿部ちゃんが「頑張れー」と言って手を振っていた。









仕事をしても本社と違うのは仕事の内容の変化と

「はい、お電話変わりました」

一人一人が受け持つ仕事の分類が多い


やっぱりまだまだ出来立てホヤホヤだとこうなるのかな。


最近は雨が多い。
雨が続くようになったということは


「うわっ、また」

「朝は天気良かったのにね」

「せんぱーい」

「折りたたみ傘持ってた方がいいよって言ったじゃん」

「降ってないからいいかなぁと」


梅雨って突然の雨が多くて予測ができない。

そして、ジメジメしてる


雨の中帰ると紫陽花とかが雨を色鮮やかにしてくれる。


最近は仕事が忙しくてお話をする機会が減っている。
このまま、自然消滅はないよね？と思いたいが帰ってくるのが遅かったりしてうまく話す機会がない。


家に帰りつき濡れた髪などをタオルで拭いていると電話が鳴った。


「はい」

『元気？』

「元気ですよ？深澤さんは？」

『俺も元気だよ』


久しぶりに聞いた声だった。

「今何されてるんですか？」

『俺？俺はね、1人会社に残って仕事してる』

「え…今大分時間経ってますよ？」

『終わんないんだなぁこれがさ。』


深澤さん

早く帰ってゆっくり休んだ方がいいですよ。

ご飯しっかり食べないと

ちゃんと休息を取らないと倒れますよ。


「…近ければ」

『ん？』

「近ければ私お手伝いしてます」

『…Aらしい』

「……好きな人を助けたいと思うのは駄目ですか？」

『いいや。ダメじゃないよ』


少し雨に濡れた体は寒いけど
心はほわほわするな。

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