君の唇にキスさせて 4【紫】

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目黒君と待ち合わせをしてお店へと向かった。


「伏本さん、急にすみません」

「？いいよいいよ。
目黒君とこう2人でご飯とか初めてだね」

「まぁ、そうですね」


会社から少しだけ離れた居酒屋さんの個室


2人だけだから話しやすいけど


「…目黒君？」

「……深澤さんがよく許したなぁと」

「ぁ、あー

私も驚いてるんだ。
反対されると思ってたから」


やっぱり私じゃなくてもそう思うよね。


お冷を1口飲みながらお酒を頼もうとしてしていると
目黒君は机に肘をついて私のほうをじーと見ていた。


「何？」

「何か上手くいってないんですか？」

「え？」

「なんかそんな感じがしたので」


上手くいってない訳では無い


…いや、私の思い違いなのか？

でも、喧嘩したとかではないし


「仲はいいよ」

「普通だったら彼女が男と二人で飲みに行くとか聞くと反対しますけどね」

「…目黒君は反対する？」

「俺は…まぁ」


普通がどの答えなのか分からない。

深澤さんは多分あまり干渉しない。


相手の事を信じているのかそれとも
相手の触れてはいけないものを触れないようにしているのか。


目の前に置かれたお酒はカランと氷の音がした。


「飲まないんですか？」

「っ、飲む飲む！

…目黒君ってよく私の気持ちわかるよね」

「え？」

「前もそうだったんだ。…目黒君私よりも大人だなぁって思ってる」


グラスを持ち口に付けお酒を喉に流す。

甘いカクテルの味が広がる。


二口飲みグラスを机の上に置くと目黒君は私の方を見ていた。


「…何かついてますか？」

「伏本さんはそういうのに疎いんですね」

「ちょっと、それは酷いでしょ」


疎いって言われたよ

酷いな


クスクス笑いながら何か頼もうかなと思いメニュー表を見ようとしたら目黒君がお酒を一口飲んでから話し出した。



「好きです」


「……へ？」


「伏本さんの事が好きです」



……今…なんて


驚いてメニュー表を落としてしまった。


目黒君は私の目を真っ直ぐ見つめていた。

この人はまるで狼みたい


逃れられない感じがして、でも


「…ありがとう。目黒くんは優しいよ。
だからさ、もっといい人見つけて？」

「っ、俺じゃダメですか？

俺が伏本さんを幸せにするのはダメですか？」


困った顔の目黒君

純粋だな


凄く


この人のそばに居る人はとても幸せなのだろうと思った。


「…ごめん

ごめんね」


泣きそうな目を堪えるのが私にとってやっとだった。

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