君の唇にキスさせて 4【紫】

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研修が始まると私は後ろの方に座って話を聞いた。

緊張している佐久間先輩だったが直ぐに彼の空気になり面白おかしく楽しく進む。

佐久間先輩が厳しいって聞いた事ないが仕事には真っ直ぐだから時には怒ることもある。
でも、それは彼の優しさから来ると分かっているから私は尊敬している。

メモをしたりして聞いていると休憩時間の時前に座っていた後輩が話しかけてきた。

「先輩ー」

「？ん」

「先輩も受けたんですか？これ」

「うん。受けたよ。」

そう応えると、難しいとか呟いて下を向いている後輩

私はその子の隣に行き肩をポンポンとした。


「大丈夫。分からないことがあったら佐久間さんに聞いても良いんだよ？」

「伏本先輩それは鬼畜ですよ」

「いや、ほんとだって。佐久間さん営業歴長いし楽しく教えてくれるよ」

「…先輩知ってるんですか？」

「え？…ぁ、元ね。本社で働いていた時初め営業課で佐久間先輩が教育係だったの」

「えぇ、そうなんですか！？」


ホントだよ。と言いながら話していると前に居た佐久間先輩が私のほうにやってきた。


「何何ー？俺の話？」

「はい。先輩は分かりやすく楽しく教えてくれるので分からないところがあったら聞いてねと」

「俺そんな分かりやすいかな？
でも、ありがと！」

ぱぁっと明るい空気を出す佐久間先輩

佐久間先輩と初めてあった時もこんな感じだったな。

確か


…あれ？


佐久間先輩と初めて会ったのって会社入社してじゃないかも。
その前にあっているような


どこであったのかは分からないが私はどこかでこの人と会っている。

「伏本先輩、ヘルプー」

「ん？！ん、何？！」

「女性の礼の仕方って手の甲どうでしたっけ？どっちが上か」

「えっとね」

椅子から立ち上がりお辞儀をする。
女性は足を揃えて私は右手を下に左手を重ねると聞いたな。

戦意はありませんということを示すって言ってたっけ。昔、刀を持つのが右手として右手を隠すということは刀を持ちません…とか。


そんなことを考えながら後輩に教えていると佐久間先輩の傍に深澤さんがやって来た。

そして、佐久間先輩の肩を掴むと時計を見て答えた。

「おい、始まるから戻る」

「えぇ？」

「全体を終えてから個別指導はしろ。

ごめんね。八田羽さん。
また後でね」

「え、あ、はい！ありがとうございます！」

後輩にそう言うと深澤さんはフワッと笑い佐久間先輩を連れて元っていった。

隣にいる後輩はきょとんと彼を見ていた。

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