君の唇にキスさせて 3 【紫】

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メールで聞こうにも仕事だし

深澤さんが受付に行った後仕事しながら考えた。


…他の人も聞いてたけどあの人「大丈夫」しか言わない。


絶対熱ありそうなんだけど


その時、内線の電話がなったので受話器を取った。

「はい、総務部の伏本です」

『あ、深澤です。

伏本さん、ごめん。俺の机の上にあるさ会社説明会の書類持ってきてくんないかな？』


「了解です。場所は」


『受付近くの小さな部屋』


あ、課内での会議とかに使うとこか


電話を切り深澤さんの机の所に行き資料を手に取る。


そして、受付近くの部屋に行くと高校生ぐらいの男の子と深澤さんが話していた。


「ごめん、ありがと」

「いえ。大丈夫ですよ」


資料を渡す時一瞬手に触れたが熱かった



部屋から出て帰ろうと思ったが足が止まる。


…大丈夫だよね？


それでも仕事がある為戻ろうと思ったがやっぱり無理で自販機でお茶や珈琲を買ってもう一度部屋に戻った。



ドアをノックして入ると深澤さんはどうした？というような表情をしていた。


「飲み物をと。

珈琲とお茶とかありますけど。」


「おぉ、ありがと。

…俺は珈琲かな。

笹田君は何がいい？」



パッと見反応は普通なんだよな


2人に飲み物を渡して部屋を出る。



1人部署に戻って席に着こうとしたら少しして深澤さんが帰ってきた。


何も言わず部署に入ると深澤さんは私に「ありがと」と言ってきた。


「？いえ、あの…深澤さん」


「ん？」


彼と目が合った為聞こうと思ったら少し先輩である葉柳さんが大きな声を出した。


「深澤先輩ー！さっきくれた資料ですけどデータ入ってませんよ！」

「えぇ！？まじで？！

ちょっと待って今から送る」


走って席に戻ろうとした彼のスーツを少し引っ張ると彼は私の方を見た。


「どーした？」

「ぁ、いえ、あの。

無理だけは」


やっとの思いで出た言葉はそれだけ


体調悪いの？でも言えればいいのに



深澤さんは私のその言葉を聞いて少し止まると私の肩をトントンとした。


「大丈夫。俺、頑張るから」


違うよ

頑張らなくていいよ


そうじゃないよ



深澤さんは席に戻りデータを送るのをしていた。



無理して倒れたらどうするんだよ。



彼の方を少し見たあと仕事の方をしないといけないと思いパソコンの方を向いたら後ろからガタッと鈍い音が聞こえた。


振り向くと彼は床に膝をついて下を向いていて

周りには先輩方が「大丈夫？！」と駆け寄っていた。

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