君の唇にキスさせて 3 【紫】

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それが合図だったのだろう。

気づいたら2人ともお互いを求める事に必死だった。



「、やめ、だ」

声が漏れると彼は私の頬を撫でる。

目を開くと愛おしそうに私を見る彼が居る。



「……っ、かぁいい…」

「ぃまは、や、」

「好きだよ」


だから、今はやめてよ


声も出なくてもただ彼の手首をぎゅっと握ると「逆効果」とだけ言われた。


近くにある時計を見ると夜の1時だと気づいた。


あ、明日会社


会社の事を考えた瞬間彼は私の体を起こした。

「今、会社の事考えたな」

「っ、なんで」

「えぇ？時計を見たから。
遅刻したときは2人仲良く遅刻しようかな」

「それはダメですよ」

「いいんだよ。もうバレたし。
……大丈夫。俺が守るから」


私の腰近くに手が置かれているが今はそれさえも大丈夫になってきた。

それでも時々ビクッとなるが彼になら触れられてもいいと思う。


…でも、会社遅刻はダメなような気がする


それに深澤さんはリアコだし

総務以外でも気になっている人はいると思う。

もしもこれ以上彼が背負わない為にも自分も強くならないといけない。

自分の身は自分で守るぐらいでないといけない。


「深澤さん。私、自分の身は自分で守れるぐらい強くなります。だから、大丈…」

「彼氏に守らせろよ。馬鹿」

「ば、！？はぁ？！」


馬鹿！？


いつもは言われないので驚いてしまうと彼は私の方を見て笑っていた。


笑い事じゃないよ


「深澤さん！」

「あのねぇ。貴方は十分強いから

優しいし素直だし

だからさぁ、俺に守らせてよ。」


頭を撫でる彼の手が私をなだめるかのようで落ち着く。



守らせて



……なんか、お姫様と従者みたいだな


彼の方を見ると目が合った。


「今週末一緒に物件探しに行こうか」

「…え」

「会社近くがいい？」

「深澤さんはどちらが良いですか？」

「おれぇ？俺はAが良ければだけどなぁ。」


そう言いながら毛布を私の肩にかけて前から抱きしめる深澤さん

彼も寒いかもと思い彼の肩に毛布をかけようとしたら深澤さんは私を抱きしめたまま横になった。

「これなら温かい」

「深澤さん寒くないですか？」

「うん。大丈夫。

俺、朝方になったら帰るけどいい？」

「…はい。」


そうだよね。だってスーツ着替えないとね。


彼の腕の中に居るこの時間は大切にしたいな。


少しずつ眠くなり目をつぶると夢なのか分からないが頭を撫でられ「おやすみ」と聞こえた気がした。

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