君の唇にキスさせて 2 【紫】

50 ページ1

買い物までの道、彼の少し後ろを歩いていく。

「…あの」

「ん？」

「もしかして深澤さんが場所を調べてたんですか？」

「うん。あれ、嫌だった？」

「いえ、ありがとうございます」

「楽しんで貰えたら俺は嬉しいから気にしないで」


後ろを振り向いて私に話す深澤さん



スーパーにつくと私はカゴを持ったがそのカゴは直ぐに彼に取られた。


「え、あの」

「はい、選ぶよー」


持つということなのかな。

野菜売り場に行き玉ねぎとかを見ていく。
この玉ねぎまでいいのでは？


商品を見ていると深澤さんはカゴに飲み物とかを入れて帰ってきた。


そして話す事もなくただ黙って商品を品定めしていく。


「深澤さん」

「…、ん？」

お肉との所で深澤さんに話しかけると少し驚いたような感じだった。

「持ちます。交代しましょう」

「いいよ。俺持てる。

…A、ちょっと聞いていい？」

「？はい」

「…この前泣いてたじゃん。

俺と居ると苦しい？」


泣きそうな困った顔で聞いてくる彼を見て私は言葉が出なかった。


でも直ぐに首を横に振った。


「違う、違います。

あれは……後で話します」


ここではダメだ。

ここで話すのはダメ


その後買い物を終えて2人一緒にキャンプ場へと帰った。


道を歩く中やっぱり私は彼の後ろを歩いた。


…身長が高いな


「A」


急に呼ばれたので彼を見た途端腕を掴まれてそのまま距離が近くなった。


あ…


「！？だめです。

ここ、」


「しないから…ねぇ、俺なんか酷いこと言った？

あの時、泣いたのって俺のせいだよな？」


「違う、貴方のせいじゃ」


「……俺は待つからAの口から聞きたいな」


腕を掴んで引き寄せたのは多分私が小さな声で話しても聞こえるようにだろう。


…なんて言えば


「…深澤さんが」

「うん」

「……やっぱり終わってから言います。

あの、早く帰らないと！お肉があります！」

「……そうだね。

あの二人も待ってるし。行こうか」



深澤さんは微笑むと歩きだした。



キャンプ場に行くと先輩二人がなんか言ってる。



「てやー！暑いから水鉄砲祭りじゃー！」

「ぶわっ！佐久間君！顔にかかった！」

「へへっ！康二ぃ、火が燃えすぎ！」

「ん？わ！ほんまや！」



「何してんだあいつら」

「楽しそうですね」


見てると面白くてクスクスと笑いながら見ていると深澤さんは「こらー」と言いながら2人の所へ向かった。

51→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す