君の唇にキスさせて 【紫】

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仕事も終え帰ることになったが深澤さんの方を見るとまだ仕事をしている。


…あっちが終わってなかったら話せないような

机の上を綺麗にしてどうしようと考えていたら社内メールが届いた。

誰？


開けてみるとそこには件名に「深澤です」と書いてあった。

…え、今仕事してますよね！？

カチッと押して開くと


『仕事お疲れ様。

ごめん、俺まだ終わりそうにないかも。
だから、帰っていいよ。

待たせるのも悪いからね。

俺の方から大丈夫な時メールするから伏本さんが大丈夫な時に電話してきてくれるとありがたい。

じゃあ、気をつけて帰ってね』



彼氏か


そう心の中で思ったが優しいのは見て分かる。

なんて送ろう。

んーと考えていると近くに居た先輩社員が私に資料を渡してきた。


「Aちゃん、もしかしてまだ帰らない？」

「ぁっ、はい」

「ごめんだけどさ、これ手伝ってくれないかな？
私一人じゃ大変で」

「大丈夫ですよ。手伝います」


仕事が増えた。


渡された資料を見てスライドを作っていく。

新人研修のかな？


カチカチと作っていってるとどうにか終えた。

終わったーとなりデータをさっき話しかけてきた先輩に渡す。

これで帰れる



「あれ？深澤先輩まだ残ってたんですか？」

「ん？終わってゲームしてた」

「もう先輩早く帰ってくださいよ」

「はいはい、ごめんね」

深澤さん残ってたのか


逃げるように帰り支度をして会社の外に出る。

すると後ろから走ってくる音がして振り返ると深澤さんが来ていた。


「、はやい」

「…話って」

「…金曜日のことだけど

ごめんなさい。俺、覚えてなくて。

でも、伏本さんに悪いことしたのは確かだと思う。

謝って済むような事じゃないのは分かってる。
でも、ごめんなさい。申し訳ありません」


真面目な言葉が聞こえてくる


本当に…覚えてないんだ。


どこか複雑な気持ちになった。


深澤さんはもしかして他の女性とかにもしているのかな？とかそう思ってしまった。


「…深澤さん、あの日私にキスしたんです」

「……え」

「覚えてないのは仕方ないですよ。だってお酒ですから。…今回は私で良かったですね。

大丈夫です。他の方には言いません。

だから……安心してください」


深澤さんは他の方からは信頼されて仕事もできる人。
だから、隠した方がいい。

その場を後にしようとしたら


「待って」


後ろから手を掴まれた。

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