君の唇にキスさせて 【紫】

33 ページ33

ビーチバレーの審判をしたり皆とバーベキューしたりと有意義な時間を過ごしているととうとう帰りの時間へとなってきていた。

片付けをしていたが何か見たいなと思い波打ち際を歩いていった。


足に波が当たり冷たい

ピタピタと音を立てていると貝殻があり綺麗だと思えた。

手に取りみると桜色に似ていて可愛らしい

…ちゃんと洗ったらいいんだよね？これって


少しずつ拾っていくと手の中に沢山集まる。


…こんなには多いから少しだけ減らそう。


目の前に岩場があったのであそこに座り貝を並べてみた。


カチャカチャと音がする中ふと深澤さんのことを考えていた。


彼は…彼氏だけど


本当にいいのかな？


多分年下のガキンチョって思われているよ。

話すことも仕事関係だし

手のかかる子供って思われている。



…どうしたら大人になれるのかな


貝を見ながら思っていたが帰った方がいいと思い元来た道を帰ろうとし足を地面に着けたら


足に力が入らないのかそれとも滑ったのか私はそのまま転けてしまった。


運が悪かった


コケたと気づいた時には私の体は海の中


手を伸ばして岩に触れる


上に上がれ

上に上に


目は痛いし息は出来ないしで「怖い」と思った

助けて


誰か


助けて


「っ、ガボッ」

口から泡が出る。

空気が逃げる

助けて助けて


誰か…


岩肌に触れてる右手にグッと力を入れた時だった


手を引っ張られ空気が吸えた。


空気がある

そう思った瞬間誰かにぎゅっと抱きしめられた。


「死ぬ気か、馬鹿っ！」


「…なん…で」


涙なのか海水なのか霞んで見えない。

でも


「勝手にいなくなるな！」


「…ふか…ざ、わ」

その人の名前を呼ぼうとした瞬間唇に熱い感触がした。


キスなのかそれとも


「、んぐっ」

「息をちゃんとしてごらん。

それとパーカー脱がすよ？」

ジッパーの音がした後に前が楽になった。

…力が入らない

前にいる深澤さんの首に腕を回す


すると深澤さんは私を抱き上げ岩に腰掛けた。

「びっくりしたね。」

「…ごめん、なさ、い」

「良かった…生きてるなら良かったよ」


ふーと息を吐いて隣に座る深澤さん


落ち着けと私も胸を押えて息をしていると隣に居た彼が私の背中に腕を回して背中をリズム良く撫でた。


「あ、の」

「落ち着いて落ち着いて

大丈夫。俺がそばに居るから」


チラッと横を見た彼は上は裸で下は海パンで


…上脱いでる


ボーと見ているとおでこをコツンっとされた。

いたっ

34→←32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す