不器用恋愛 (ページ6)

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5 小瀧side ページ6

俺の目の前にいる人は現在頭を抱えとる

「あかん、どうしょ」

「濵ちゃん、俺今から資料作らなあかんねんて」

「うん。知っとる」

落ち込んでるやん

さっき食堂で話した人が倒れたとか俺も驚いたけど

Aが倒れた後俺のところに走ってきて「望！」って大きな声を出した濵ちゃんの焦った表情は俺忘れんと思う。

その後焦ってる濵ちゃんから事情を知り急いで医務室に行ったら青ざめたAが寝てて

荷物とか持っていかなあかんってなった時
何を考えたんかふとあの焦った表情を思い出して「俺らが行きます」って俺声出してたし。

頭抱えて悩んでる濵ちゃんを見ると

両想いやでーって言いたくなるけど

そこは言わない。

そんなため息ついてる濵ちゃんの足をげしっと蹴ってやった。

「いたっ」

「濵ちゃんが悩んでどないすんねん」

「…ほんまにあれは貧血なんかな？」

「あーも！！医者が言ったやろ

重度の貧血って！」

「そうやけどさ」

「そない気になるんやったら1人でお見舞いに行ってみ」

「なんて言って」

「お見舞いですって」

そう言うと黙りこく濵ちゃん

…俺の方が歳下

そう俺の方が歳下

そう暗示をかけないとなんか立場逆転しそうや

俺の腕の下にある資料を見ると次の会議に必要な資料があった。

おかしな話で救急車がさっき来たんに普通に仕事するとか

しかも俺の同期で

「…その時にでも言えばええやん

好きやーって」

「あほちゃう？！」

目の前にいる先輩の好きな人

今日はそんなAがどう思ってるのか知りたくて俺から話しかけた。

そしたら両想いやって気づいたから俺の心の中にしまっとこうと思ってたんに。

「まて！なんで知ってるんや！」

「見ればわかるわ」

もうこういうてしかない。

どちらも奥手すぎてらちがあかん

でも携帯電話を教えることは出来たからあとはAからの連絡を待つのみ。

Aの事やから

律儀だから

連絡をくれると思う

同期だからこそ分かる勘ってもんかな

時計を見ると4時を指しそうだった。

「濵ちゃん、俺の方に連絡来た時は教えるからさ

まずはこの資料を作らしてくれ」

５時には終わらせたい

定時で帰りたいやん

そう言うと濵ちゃんは謝って離れていった。

…背中は超悲しそうやん

それを見ると一瞬だけグッと涙が出そうになった。