不器用恋愛 (ページ15)

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一時入院した結果退院出来たのは冬

「お疲れ様」

「ありがとうございました」

「きつくなったらまたおいで

あ、それと定期検診と薬は必ず来るんやで」

荷物を持とうとしている私に忠告してくる中間先生

それに対し頷くと先生はふわっと笑い頷く

荷物をタクシーのところまで運ぼうとしたら神山さんが来て持ってくれた。

「おめでとう」

「ありがとうございます。」

「貧血はまた悪化する時あるし無理は禁物な」

「了解しましたー」

隣で心配そうに言う神山さんに笑顔で返すと神山さんは「お前聞いてないな？」と言って私のおでこにデコピンしてきた。

いったぁ

看護師容赦ない

さすりながら歩いていると外のタクシーにつき荷物をトランクの中に入れる。

こことはもうおさらばだろう

多分ね

病院を見ると本当に世話になったなぁと思う。

次からは気をつけて生活せねば

そう心に誓い私は久しぶりの家へと帰った。

久しぶりの我が家は真っ暗

そりゃそうか誰もいないし

鍵を出して開けようとしてるとお隣が丁度帰ってきた所だった。

「あれ？Aちゃんやん」

「あ、重岡さん」

買い物の袋を持った重岡さんがそこにはいた。

重岡さんはお隣さんに住んでいる会社員の方。

よく何かあった時はお世話になっています。

そんな重岡さんは私のところに来てたくさんの荷物を見た後聞いてきた。

「家出でもしたんか？」

「いや、ひとり暮らしなのになんで家出」

「あ、そうやな！あははは」

なんというボケをかましてくるんだよ

そう心の中でつっこむと重岡さんは私の荷物を持つとマジのトーンで話し出した。

「どうした？」

「入院してました」

「えぇ！？」

「貧血が悪化して重症化してたそうです。」

「大丈夫なんか！？」

「ここにいる時点で大丈夫ですね」

そう焦る重岡さんに返すと重岡さんは良かったぁと言って胸を撫で下ろしていた。

お兄ちゃんみたい

荷物を部屋に運び込むと重岡さんは荷物を落としてから私に言った

「なんかあったら無理すんなよ？

いつでもお隣に来ていいから」

「ありがとうございます。

その時はごめんなさい」

重岡さんは首を横に振って「気にすんな」と言っていた。

そりゃあそうか

重岡さんとはここに住み始めてからお世話になってるんだから長いよね。

気を許せるお隣さんって本当にありがたいな。