恋焦がれて【津田健次郎】

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きつい

綺麗に着ている浴衣の帯が嫌になる

一瞬だけ緩めようかなぁと思ったが緩めたらえらいことになると思いやめた


やばい…部屋に戻ろうかな？


そんなことをぐるぐると頭の中で考えてると

津田:「？おい、この子大丈夫か？」

先輩:「あ、社長。

お酒飲んだら酔ってしまって」

津田:「おーい、大丈夫か」


お茶を持った津田さんが目の前に座ってきた


…変わらない


のに


名前じゃない


私あの子って名前でもないし

無視ではないが言葉を発さないで下を向いていると目の前に冷たいおしぼりが来た


貴方:「っ、ん」

津田:「水飲むか？」

貴方:「…」

津田:「…おい、話せるか？」


声的に心配してるのは分かる

不安そうな心配そうなトーンだもん


おしぼりを掴み津田さんの目を見る

すると何故だが自然と左目から涙が溢れてきた


おかしい


これは私がおかしいよ

腕で目を抑えて頬を2度叩く

泣かない

泣くもんか


貴方:「大丈夫です。

酔いが…さめてきました。

ありがとうございます」

そう言って頭を下げる


考えてもぐちゃぐちゃだな頭の中は

目の前にあった酎ハイの入ったグラスを手に取り1口飲もうとした

だがその手は捕まれ酎ハイは手から離された

…え


津田:「これ以上飲んだらぶっ壊れるぞー。

やめとけ。な？」

貴方:「っ、馬鹿にしてますか？」

津田:「馬鹿にはしてねぇーよ

君の体を思って」

貴方:「嘘つき

社長は嘘つきです」


先輩:「Aちゃん、飲みすぎだよ」


何も


貴方:「……意地悪で鬼で

最低で…嫌な気持ちにさせてばかり

………飲むしかないじゃんか」


分かってない


誰も

分かんない


津田さんの手からグラスを取り一口飲む

そしてそのグラスを置くと私は席を立ちその場をあとにした。





帰ってやる

と言っても帰り方は知らない

泣いてやる

泣いてやる


そう思ったら涙はとめどなく溢れる


何こんなに悩んでるんだよ
何にこんなに泣いてんの？

私のどこにこんな泣けるぐらいの悲しい涙が出てくるの？

浴衣の袖を目に当てて立ち止まる

足音も何も聞こえないから私の声だけが聞こえる


貴方:「っ、ん、」

止まればいいのにこの涙が


涙が溢れすぎて足元に力が入らなくなってきた


座ろうかな

足がゆっくりと座ろうとした


が



「A」


その声と同時に後ろから支えられるかのように抱きしめられた

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