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☆第5話☆ ページ5





青年が氷花の病室に戻ると、氷花のベッドの前に少女がいた。

氷花と同い年ぐらいだ。



少女はただ氷花を見下ろしている。



青年はそのまま外で立ち往生。
なんとなく病室に入れずにいた。




さて……どうしたものか。





ダンッ



「!!」



壁を叩いたような音に青年は驚き病室の中をのぞく。



「……っ」


少女が壁に拳を叩きつけていた。


「……ふ、ぅう……っ」



少女の肩は震えていた。



ああ、泣いてるのか。

青年はそう悟って壁に背を預ける。



だがその少女は青年の予想の斜め上をいった。




「氷花のバカッ!!!」




は?

となった青年を誰も責めることはないだろう。




「…っ、また元気になったら映画観に行こうって言ったじゃん!!
またいつもの検査だって…っすぐまた退院できるって言ったじゃん!!

なんで氷花が死んじゃうの!!
もっと一緒にいようって言ったじゃんか…っ!!」




少女の叫び

氷花への




少女は氷花の友達だろう。

青年は前に氷花に親友がいると聞いたことがあったのを思い出していた。




きっとこの少女のことだ。





氷花の死を受け入れられない少女。

なんで?! どうして?!



ひとしきり怒って、叫んで、



「…っ、バカ…!!」



現実なんだって、気づいて、



「………っ」



また、悲しくなって、



「…っ、うわぁあああっ…っ」



その場に崩れ落ちる。





どれだけ想っても、もう遅い。



何もできない。

何もできなかったって、嘆くんだ。






少女の泣き声が病室に響いて、

青年の耳に届く。









胸が痛くなる。
大切な人を失った者の悲しみがひしひしと伝わる。

そうさせたのは青年自身だ。


けどそれが仕事だ。




青年の、仕事だ。






青年は、ただ少女の泣き声を聞いてるしかできなかった。

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紅葉(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントうれしいです!読んでくださり、ありがとうございました!受験頑張りますね!! (2018年12月1日 16時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 初めまして、小説読ませていただきました!私も死神が出てくる小説を書いているので、いろいろ参考になりました!受験頑張ってください! (2018年12月1日 15時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 時雨さん» うわぁあありがとうございます!!むっちゃうれしいです!!ありがとうございます!!頑張りますね!! (2018年10月7日 21時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - この作品が大好きです。これからも応援させて頂きます。(お気に入り登録と評価の方もさせて頂きました。) (2018年10月7日 21時) (レス) id: c02ba4ffe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 紅苺さん» コメントありがとうございました!ちょっと作風変わるかもですけど試行錯誤してみます! (2018年10月6日 17時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉 | 作成日時:2018年8月13日 19時

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