夢見るカラフル【α組project】【ヒロアカ】 (ページ45)

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なにやらコントのような会話だが、綾芽の個性制限は重要だ。綾芽は基本的な「風」「火」「水」「草」と、時々「雷」しか使わない。三原色の中でも、雄英で許されているのは混合２つまでだ。

「それにしても、何をしたんだい？毒なんて作ってないよね？そんな色ないよね？？？」

綾芽はにっこりと笑って、ポケットから木を取り出した。それにみんなの視線が集中する。

「……これ、私たちを押し付けてた木？」
「これがなんなんだ？」

それに対して、綾芽はライターの火をポンッと付ける。その２つを見合わせて、綾芽はミツルを伺う。

「これね、燃やしたら催眠作用のガスが出る木なんだ」

その一言で、ミツルは全てを理解した。
宝鱗は木のそばにいて、俺は体術行使のために呼吸を深くしていた。綾芽たちに影響が及ぶ前に倒れることは目に見えている。
制御権の放棄ではなく砂埃をわざわざ払ったのは、俺に呼吸を浅くさせないための布石か。

麗日は【引き寄せ】の個性を持っているため早めに、最悪は宝鱗と同レベルの影響を受けることは予想できる。偶然俺が先に麗日を倒れさせてしまっただけで、結局戦況は綾芽の掌の上だったわけだ。
しかも、炎を出させたのは宝鱗の金剛石のため……まんまとカモフラージュに利用された。

悔しさに唇を噛み締めた。布団の中で拳がギリギリ力を込める。

オールマイトは綾芽がギリギリの範囲で今回の戦闘を構築しているとわかってため息を吐いた。時計を見てハッとしたように立ち上がり、わたわたと手を揺らすオールマイト。

「麗日少年も宝鱗少女も、お互いの個性を利用してカモフラージュしたりされたりすごかったよ。ミツル少年と架彩少女も。個性の特性を理解して仲間と連携が取れているいい勝負だった。お互いに、自分が考えていたことを相手が考えている可能性も考慮して、次の訓練に挑んでね！」

なにやら時間がないのか、無理やりまとめに入ったオールマイトに首を傾げる面々だったが、そのまま「Puls ultra！」と言い残して行ってしまった。

残されたミツル達だったが、希乱がぽそっと「悔しいなぁ」と呟いた。

「あー悔しい！奇星、もう十分休んだよね⁈ 帰って特訓しよう！」
「もちろんなんだよ！ことくんも誘うんだよ！」

綾芽が持ってきてくれた鞄を引っ掴んで、タッタカターと更衣室に向かって行った２人。
綾芽とミツルの間にはどことなく気まずい雰囲気だけがあった。