捕まえた ページ41
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砂埃を留めたはいいものの、綾芽は特に何も考えておらず首を傾げた。奇星が封じられるのは厄介だが、正直ミツル封じの方が先決なのだ。
希乱を侮っているとかそういうわけじゃなく、ただ単純にミツルとは相性が悪い。
この先の手を予測しつつ、くるりと簪を手元で回す。これは考えるときの綾芽の癖だ。シャランとガラス飾りが音を立てた。
____うん、やっぱりこれかな。
最大の時間で、最大の技を。
頭の中で組み上がったそれは、畳み掛けるには少々面倒な案件。ちょっと無理してみようかな。
「奇星、ちょっと相談____」
指示を伝え、納得し頷いた彼にこちらも頷いた。
キィン、と繋がる意識に目を閉じる。
留められていた砂埃が徐々に薄れていく。それに触発されたように、周りの空気がピリついた。
「宝鱗、行くぞ！」
「はい！」
「架彩さん！ 希乱が仕掛けてくる！」
「そうね。そんな感じだわ」
嫌でも臨戦体制に入る。
砂埃が晴れた奇星の視界に映ったのは、無数の宝石の
「……マジか、なんだよ」
淡く光を反射し、希乱の合図と共に放たれる。
「架彩さん！」
奇星の叫び声に、綾芽はようやく目を開けた。
導き出されるその
「____止めろ」
端的かつ、抽象的な言葉。
しかし集中していた分明確な意思を持つそれは、全ての礫に枝を添わし動きを封じた。
ついでにミツルと希乱も枝で捕まえる。２人は綾芽がまさかこの狭い部屋で木々を出してくるとは思わなかったのか、アッサリ捕まってしまった。
綾芽はチラリと宝石に視線を移し、また彩を切り替えた。
「____我の思いに応えて畝れ。焼き尽くせ」
激しい炎が揺らめき、木々を焼いていく。
炎を浴びせられた宝石は、その透明さを揺らし消え去った。
「金剛石……つまりはダイヤモンドね。
嘗めているのかしら。オリジナルは私よ？」
ダイヤモンドは世界一硬い鉱石。でも裏腹に、炭素の同素体であるそれは炎によって消滅する。
金剛石を用いた攻撃は、綾芽の技でもある。それを知る希乱に視線を移せば、希乱はニッと笑った。
「そうよね、綾ちゃん。
____だからこれは私の仕事じゃない」
意味深な希乱の言葉に思考を回す中、隣に立っていた影がゆらりと揺れる。
ドサッと音を立て、奇星が倒れ込んだ。
「奇星⁈」
綾芽が一瞬２人から目を離した隙に、ミツルが枝をすり抜けて距離を詰める。
気付いた綾芽の口を塞ぎ、壁に押し付けた。
「……やっと捕まえた」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年1月4日 11時
