大切な人と ページ29
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(あれ……てかなんであいつは私をわざわざ引っ張って行ったんだろ……)
久々に出てきたこの作品のヒロイン、架彩 綾芽は考えていた。
それは爆豪に対する疑問。
なんだかんだで理由がわからず朝になった。
トコトコと駅から学校までの道のりを歩く。
早めのこの時間はまだ登校中の生徒も少なかった。
「おはよう綾芽」
ポスッと頭に軽い重み。振り返ればミツルがいた。
そして綾芽の頭にはミツルの手。なんだか背が小さいと言われているようでその手をペイっと払う。
うん、ある意味いつも通りだ。
「ん、おはようミツル。
妹ちゃんとは楽しめた〜？」
「……悪かったって」
嫌味ったらしく言えば、素直に謝るミツル。
その後ろにいるツンツン頭に、首を傾げその姿を追った。
「……あれ、勝己じゃん」
「おう、」
あの爆発三太郎であった。
「おふたりで登校？
仲直りしたようでなにより〜」
「……おう」
「綾芽がなんで知ってるんだ？」
綾芽が２人のギスギス状況を知っていたことに首を傾げるミツル。
それに綾芽はチラッと爆豪を見て、再度ミツルに視線を移す。ニコッと笑い「秘密！」と受け流す。
「……あ、そういや勝己、昨日送られてきたこのスタンプなに⁈」
「あ？ テメェに似てると思ったから贈ってやったんだよ感謝しろクソが」
「なんで『毒舌兎』なのよ喧嘩売ってんの⁈」
ギャーギャー言い合いを始める２人を眺め、ミツルはひとり首を傾げた。
なんだか胸の奥が温かい。自然と緩んだ頬に綾芽と勝己が勢いよく振り返る。そのレベルにレアな表情だ。
「……み、ミツル？」
「どうしたなんかあったんか⁈」
「……いや、大切な人が大切な人と仲がいいのっていいな。２人が打ち解けてくれてすごくうれしい」
ミツルの素直な言葉に固まる２人。
「……出たよ天然タラシ」
「恥ずかしげもなくサラッと言いやがって……」
ジト目でミツルを睨む２人に、ミツルは首をかしげた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年1月4日 11時
