個性について ページ27
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「だから今さら言わんかったんか」
「……ああ。ごめんな」
状況を理解して爆豪はため息を吐いた。
不安にさせたことに、しゅんとするミツルだが、爆豪はそんなミツルを小突く。
「んで、いつから個性出てたんだよ」
「高一の夏からだ。だから、勝己に出逢ったときにまだ無個性だったのは本当だ」
「ほー、俺には報告してくれんかったわけだな」
「……無個性だってバレたくなくて、だな……」
言い淀むミツルに爆豪は少し笑う。
「勝己を失うのが恐かった」とミツルは言った。
爆豪の偏見を知った上で、無個性だとバレて見限られたくなかったようだ。
「まあ信用されてなかったわけだ」
「……！ それは、」
「わぁーってるよ、自業自得だ」
ミツルを不安にさせていたのは自分の落ち度だ。
でも、と爆豪はミツルを睨む。それにミツルは首を傾げた。
「……んで、個性使わんのはなんでだ」
「あ、あ〜〜、」
ミツルは言い淀む。
ミツルの個性発生事情云々は置いといて、単純に今まで手加減されていたことが気に入らない。
「……いや、さっき使ったぞ一応」
「あ''⁈ ……あ、あれか！」
目を逸らして言うミツルにさっきの戦闘を思い出す。一瞬使えなくなった個性に、ミツルの方を見た。
「……使ってるだろ？」
「まーな。でもその様子じゃさっきが初めてだろ」
バレバレなんだよ。
ズバッと言えばギクッと肩を揺らすミツル。
それに笑って火花を散らせば、ミツルは焦ったように手をブンブン振る。
火花を納め、ドカッと立ち上がる。
「じゃあ、とりあえず個性当ては続行だな」
「すぐバレそうだけどな……」
自信なさげに言うミツルに、「すぐ当ててやらぁ」と笑う。
なにが変わるわけでもない。これからも今まで通りでいられることに密かに安堵したのは秘密だ。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年1月4日 11時
