勝己の本音 ページ25
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廃墟に爆発音が響く。
爆豪の爆破を捌き続けるミツルからかける言葉はなかった。
それが不満な爆豪はミツルへの攻撃を荒げる。
「なんで何も言わねぇ……！ なんか反論してみろやミツルッ‼‼」
爆豪から投げつけられる言葉にミツルは表情を歪めるだけだ。
「……んで、言わねぇんだよ‼
俺は……俺はテメェにとってその程度の存在だったんか‼」
「……っ違う‼」
やっと反論したミツル。
ミツルが爆豪に声を荒げたのは初めてのことだった。
我に帰ったのか、ミツルはハッとして黙り込む。
それにまたもどかしくなるんだ。
「……ッんだよ、言いたいことあんならはっきり言えや‼
楽しかったかよ俺を騙してよぉ！
無個性を見下す俺に勝ち続けてよぉ‼」
「……っ、」
ミツルが嘘をついていたことに責任を感じていたのもわかる。
だから言い返せないのもわかる。
でも、でも俺は……っ‼
フッと、空間から爆発音が消えた。
「………は？」
爆破を続けようとするが、一向に爆破は起こらない。
「……！ ミツル、」
「ごめん、勝己」
ふわっとミツルの香りが広がる。
視界に映るミツルの黒髪。腰に回された手に気付いて、今どういう状況なのか察しがついた。
「………は⁈ ミツルッ⁈」
「ごめん勝己」
「泣くな」とミツルが呟いたのと、雫が頰を伝ったのはほぼ同時だった。
は……？
俺、泣いて……なんで……？
抱きしめられて頭を撫でられて、なんだか胸の奥が熱くなる。
すべり落ちる涙に戸惑いながら、あの時感じた思いを素直に口にした。
「……ンで、言ってくれなかったんだよ……っ」
俺のせいだ。
そんなことは知ってる。
でも、止めてくれよ。
嫌だったんなら言ってくれよ。俺は何も知らずにミツルを傷付け続けるのだけは嫌だった。
挙げ句の果てに、他人から聞いて初めて知っただと？
ふざけんな、もっと早く気付けや。
「……っちゃんと言えや……‼
俺は……っ俺は、てめぇの口から聞きたかったんだよ……っ‼」
肩に落とされる温かい雫。それに気付かないフリをして、ミツルはぽんぽんと爆豪の背中を撫でた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年1月4日 11時
