第８話 ページ8
・
バサッ
「あ」
手が引っかかり、机の上にあった手帳が落ちてしまった。
「そういえばこれまだ見てないや」
それは陵Aの日記帳だ。きっと彼女のことがたくさん書いてあることだろう。
パラ、と開いてみる。小さく整った字が紙面に綴られていた。
____________
____
＿
「ふう……」
パタン、と栞を挟んで日記帳を閉じる。
彼女の字で綴られたそれは、なんとも悲しげなものだった。
ここで紙とペンを取り出して、彼女の境遇を書き出してみる。
・両親はすでに他界している
それだけ書いて、はあ、とため息をつく。
なんとなく予想してはいたけれど、本当に両親ともにいないとは思わなかった。
この家は転校を機に祖父が買ってくれたものらしく、一人暮らし用の家だった。そのへんもテーブルやイスの数で納得した。
そして、
・
これには流石に驚いてしまった。
彼女は警察学校組の松田さんと知り合いだったのである。
〜〜〜〜〜
某月某日
陣くんが亡くなった。
陣くん、爆弾にひとりで挑んだんだって。それで
次の犯行は食い止められたんだって。
でも陣くん本人が死んじゃったなら意味ないよ。
陣くんもそう言ってたじゃない。なんでちゃんとしてくれないの。バカじゃないの。
もう会えない。もう話せない。もう頭撫でてもらえない。
やだ。やだよ。また会いたいよ。
一緒にいてくれるって言ったくせに。いなくならないって約束したのに。嘘つき。嘘つき。
写真のあなたは笑ってて、逆にこっちは笑えない。
松田 陣平って書いてある会場もぶっ壊したくなる。
なんであたしの大切な人はみんないなくなっちゃうの？
もうやだ。みんな嫌いだよ。
〜〜〜〜〜
少し乱れた字に胸が痛んだ。
松田刑事のおかげで事件がおおごとにならなかったことも、次の事件を不発に終わらせられたことも、
きっと警察から聴いていたんだろう。
それでも受け入れられないものは受け入れられなくて、突然すぎたサヨナラに八つ当たりさえしたくなる。
彼の殉職がたとえどれだけ多くのものを救っていても、知らない誰かのために失った彼の穴は大きくて、とてもカンタンには埋められない。
それがまた苦しくて
「………っ」
ヒリヒリと伝わる思い。
それでもきっと全部じゃない。
彼女は、どれだけ無くしてきたのだろうか
どれだけ、悲しみを繰り返してきたのだろう
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紫苑(プロフ) - 待ってマジか、、、月城ってwうちのファミリィ―ネェーム((リアル名字なんだが、、、ウケる（真顔） (5月31日 6時) (
レス) @page1 id: 3aa754953d (このIDを非表示/違反報告)
#P - ずっと、求めていた小説が見つかりました…！！！ 大好きだぁああ！！ (2022年6月14日 23時) (レス) @page34 id: 9b79f8fc8c (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ザックの嫁さん» レスが遅れてすみません。コメントありがとうございます。まだ救済まで至っていませんが…頑張りますので見守っていただけると幸いです。コメントありがとうございました！ (2020年1月8日 13時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
ザックの嫁 - 救済とか……… 大好物じゃないの！！ (2019年12月15日 14時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ラムさんさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです！やっと更新しました……おまたせしました！これからも維持できるよう頑張ります！ (2019年5月4日 22時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年1月24日 23時
