ぶりっ子ならぬ、いい子ちゃんの私はマネージャーです。【青葉城西】

Ｎｏ．３２ ページ32

A「なんでこうもバレるの……」

国見「ま、うちの先輩達は勘が鋭いから」


机に突っ伏して、グダグダする。

国見は私にそう言いながら、塩キャラメルを頬張っていた。


あのあと、一目散に教室に帰ってきた。

そして、国見に謝罪をして弁当を食べ始めたのである。


今朝作ったアスパラのベーコン巻きを箸でつまみながら、ため息をはいた。


国見「お前の弁当ってさ、すげえのな。
それ、自分で作ってるの？」


すると、国見が私の弁当を覗きながら告げる。

因みに、今日の私の弁当は、
アスパラのベーコン巻き、ナムル、枝豆とコーンの甘炒め、唐揚げ、ハンバーグ、卵と鶏そぼろのご飯。

冷凍食品は使わない主義。

まあ、料理は好きなほうだから苦ではないが。


A「自分だよ。家事全般、私だし」

国見「ふーん。人は見た目によらないって、本当だったんだな」

A「おい、あんま舐めた口聞いてっと、そのセンター分け、七三にすんぞ」

国見「くちわっる。『いい子ちゃん』の名がすたるぜ？」

A「なんのことぉ、国見くぅん？」


国見が私の唐揚げを取る。

そのままペロリと平らげ、「うめ」とだけ口にした。


国見「料理上手なんだな。 めちゃくそうめぇじゃん」

A「！」


そう言って、国見は私をじっと見つめた。

……あんまり見ないでほしい。


なんだかんだ言って、国見はカッコイイ部類に入る人間だし。

そ、そりゃあ、私だって女子だから、異性に褒められたら嬉しいもんですよ？


A「何勝手に唐揚げ食ってんだよ」

国見「なら、塩キャラメルあげる」


誤魔化すために怒ったふりをしたのに、国見はケロリとした顔で塩キャラメルの包みを剥がす。

そして、塩キャラメル本体を、私の口まで運んだ。


国見「開けて、口」


澄ました顔で、国見はそう言う。
ボンッ、と顔が熱くなるのを感じた。

な…なんだ、この余裕。


取り敢えずムカつくので、意地を張って平常心を装いながら、口を開けた。

が、


国見「あげるわけないでしょ？」


ヒョイッ、と国見が塩キャラメルを遠ざける。


A「アンタねぇっ、」


頭にきて顔を真っ赤にしながら叫んだその瞬間、ぽんっと口の中に放り込まれた。


国見は勝ち誇ったような顔をしている。


取り敢えずムカついたので、脚を蹴っておいた。


……ムカつくけど、ドキドキした。

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