第１７０話 ー長谷倉先生余談�ァ� ページ20
A「もういたくない？」
長谷倉「嗚呼……ありがとう」
俺がそう言うと、その子はとても嬉しそうな顔をした。
その顔に、胸がきゅんっと切なくなる。
え、なんだこれ……。
A「わたし、涼川Aっていうの！
７歳だけど、自分の名前は漢字で書けるんだよ！！」
長谷倉「へえ、すごいな。俺は月浩だ」
涼川……A。
Aか……。
何度も心の中でその名前を繰り返す。
忘れないように。
この温もりを。
この笑顔を。
この気持ちを。
この愛おしさを。
長谷倉「もう遅いから、帰りな」
A「えー」
俺がそう言うと、Aは凄く嫌そうな顔をする。
「まだ喋る！」とごねはじめた。
だから、俺はこう言った。
長谷倉「じゃあ、こうしよう。
Aが１５歳になって高校生になったら、俺が学校の先生なる。
そうすれば、ずっと傍にいるから。それまで待っててくれないか」
気づいたらそう言っていた。
それを聞いたAは、「ほんとう！？」と言って目を輝かせる。
長谷倉「約束だ」
A「じゃあ、指切りしよ」
差し出された小指に自分の小指を巻き付ける。
聞きなれたフレーズを繰り返す。
Aはとてもご機嫌だった。
あんなに興味のなかった将来の夢。
それがこんな小さな子供でいとも簡単に決まるとは。
A「またね、つきひろお兄ちゃん！」
長谷倉「嗚呼、また」
絶対に、逢いにいく。
君にまた『いたいのいたいのとんでいけ』をしてもらう為に。
柏「見つけましたよ、長谷倉様。
もう逃げられません……さあ、今すぐに」
長谷倉「もう逃げない」
柏「はあ！？」
見慣れた政府の役人が見えて、俺は無抵抗な姿勢を見せる。
そうだ、こいつらを利用すればいい。
約束の為に、利用できるものは全て利用しよう。
長谷倉「俺はちゃんと高校に行って、大学を卒業して、高校の教師を６年間やる。
そうしたら、その後は好き勝手使っていいぞ」
政府とそういう約束を交わし、
俺はまた高校に行き直して大学も行った。
そして、無事に卒業して教員免許も取得した。
異動願いを出して、とある高校に足を踏み入れる。
やっと、やっとだ。
３年目にして……やっと。
長谷倉「涼川、少しいいか」
A「……はい」
また、君の瞳に俺を映すことができた。
第１７１話 ー長谷倉先生余談�Α滋�←第１６９話 ー長谷倉先生余談�ぁ�
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1130人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蜂の巣 - 194話冒頭の「長谷『倉』side」が「長谷『部』side」になってます (2019年3月9日 1時) (携帯から) (
レス) id: d5ccda77cf (このIDを非表示/違反報告)
紀羅 - 多種多様性って知らんのか！昔の人間だからな…と思いました (2019年1月29日 0時) (レス) id: 80e8fc00d9 (このIDを非表示/違反報告)
シュヴィーレイン(プロフ) - コメント失礼します。今回更新の部分で浪士3を倒す場面で、小夜が言ってるセリフが自分で入れた名前になっているのですが… (2019年1月8日 22時) (レス) id: 74f7c9dea9 (このIDを非表示/違反報告)
白器(プロフ) - え、まって泣いた、めっちゃ泣いた！2回ぐらい。更新、できたらでいいので待ってます！ずっと待ってます！ (2018年12月18日 19時) (レス) id: 606a83cb8b (このIDを非表示/違反報告)
桜 - やばい…先生かっこよすぎる。え、イケメンなんですけど。本当にかっこいい！！！！やばすぎじゃないですか！？マジで本当にかっこいい…惚れました。更新やめたのかな？？？できれば続けて欲しいです。 (2018年11月27日 22時) (レス) id: fcb91909ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なちゅまろ氏 | 作成日時：2018年8月1日 12時
