第１６９話 ー長谷倉先生余談�ぁ� ページ19
長谷倉「こ、ども……」
そこにいたのは、真新しいランドセルが印象的な黄色い帽子を被った女の子。
小柄な体に大きなランドセルがアンバランスなその姿に安堵する。
政府じゃなかった……。
危なく襲いかかるところだったな。
安堵のため息をついて、女の子を見つめる。
その子は、大きな瞳で俺を見上げていた。
長谷倉「下校途中か？それなら、早く帰るんだな。
俺の近くは危ないから、遊ぶなら違う公園に行ってくれ」
人目を避けた公園を選んだはずなのに。
俺は素っ気なくそう言うと、子供から距離をとった。
もしかしたら、この子にまで政府が手を出すかもしれない。
＿＿＿＿＿＿ぎゅっ……
長谷倉「！？」
だが、子供は俺に近づいた。
そして、俺にいきなり抱きついてきた。
は？なんだ、この子。
長谷倉「おい、何して……」
A「お兄ちゃん、怖い顔してる。
そういう時は、ぎゅーってすると安心するんだよ」
その子はそう言って、俺に強く抱きついた。
引き剥がそうと子供の首根っこを掴むが……。
＿＿＿＿＿＿するっ……
腑抜けたように腕の力が抜ける。
久しぶりに感じた他人の体温にほっとしている自分がいた。
当たり前のように感じていた他人の温もり。
それは、全部陽一から貰ったものだった。
でも、俺は今初めて陽一じゃない誰かの体温を感じている。
A「いたいのいたいの…とんでけーっ」
長谷倉「！」
そう言って、その子は腕を広げた。
離れたはずなのに、残る温もり。
優しくて心地良い。
陽一『月浩』
長谷倉「っ……」
目尻が熱くなる。
目の前で無邪気に笑うこの子が……とても愛おしい。
心地好く心臓の音が鳴り出す。
危険なんか知らない無防備なその顔が俺を何より安心させた。
A「まだこわい？もっとする？」
不安そうな顔で俺を見上げる子供。
なんで、俺なんかを心配するんだ。
見知らぬ男だぞ……それなのに。
A「いたいのいたいの……とんでけーっ！」
何度も何度も子供はそう言った。
俺は顔に手を当てる。
押し寄せるこの感情は……なんなのか。
それがわからなくてもどかしい。
でも、感じる温もりは心地よくて。
長谷倉「……ありがとう」
名前も知らない子供に救われた。
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蜂の巣 - 194話冒頭の「長谷『倉』side」が「長谷『部』side」になってます (2019年3月9日 1時) (携帯から) (
レス) id: d5ccda77cf (このIDを非表示/違反報告)
紀羅 - 多種多様性って知らんのか！昔の人間だからな…と思いました (2019年1月29日 0時) (レス) id: 80e8fc00d9 (このIDを非表示/違反報告)
シュヴィーレイン(プロフ) - コメント失礼します。今回更新の部分で浪士3を倒す場面で、小夜が言ってるセリフが自分で入れた名前になっているのですが… (2019年1月8日 22時) (レス) id: 74f7c9dea9 (このIDを非表示/違反報告)
白器(プロフ) - え、まって泣いた、めっちゃ泣いた！2回ぐらい。更新、できたらでいいので待ってます！ずっと待ってます！ (2018年12月18日 19時) (レス) id: 606a83cb8b (このIDを非表示/違反報告)
桜 - やばい…先生かっこよすぎる。え、イケメンなんですけど。本当にかっこいい！！！！やばすぎじゃないですか！？マジで本当にかっこいい…惚れました。更新やめたのかな？？？できれば続けて欲しいです。 (2018年11月27日 22時) (レス) id: fcb91909ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちゅまろ氏 | 作成日時：2018年8月1日 12時
