四人の歌い手は鬼を狩る

決意 ページ39

坂田と煉獄さんが命懸けで戦って居るのに、また俺だけ無力で観ているなんて嫌だ。



　鉛の様に重い身体を奮い立たせ、折れた刀を握って地面を蹴る。



う「樹の呼吸…。」



　陸ノ型 根葉刃一閃…



ドウッ‼︎



う「っ！？」



　竈門炭治郎と猪と共に猗窩座の首目掛けて刀を振り下ろすものの、猗窩座が上に飛び跳ねただけで強風が起こり、空中でバランスを崩し、そのまま飛ばされて、坂田が貧血でそのまま飛ばされて落下するのが見えた。



　地面に落ちて顔を上げると、猗窩座は両腕を千切って直ぐに再生させて、森の奥に逃げて居た。



ｽｩｩ…



　直ぐ横でそんな音が聞こえて横を見ると、炭治郎が刀をぶん投げて、既に数メートル先に居る猗窩座に突き刺した。



　…なんだ…さっきの呼吸…。



　炎とはまた違う、初めて見る炎を纏った刀が飛んでいった。



炭「逃げるな卑怯者‼︎逃げるなァ！！


　いつだって鬼殺隊はお前らに有利な夜の闇の中で戦っているんだ！


　生身の人間かだ！傷だって簡単には塞がらない！


　失った手足が戻る事もない！

　
　逃げるな馬鹿野郎！馬鹿野郎！卑怯者！


　お前なんかより、煉獄さんの方がずっと凄いんだ！


　強いんだ！煉獄さんは負けてない！


　誰も死なせなかった！戦い抜いた‼︎守り抜いた‼︎


　うらたさんや赤髪の人だってそうだ！


　小さな狸だって！守る為に立ち向かった！」



う「！…。」



　「お前の負けだ！煉獄さんの！煉獄さん達の勝ちだ！」



　竈門炭治郎がそう叫んで声を上げて泣き始めて、俺はぽかんとしてしまう。



　…少しは役に立てたんだろうか。



坂「…うらさん。」



う「！」



　坂田に呼ばれて、ハッとして倒れてる坂田に駆け寄ると、坂田は笑ってた。



坂「センラに鍋の具にされるで。」



う「駄目だ。」



　先ず坂田の手首と指先、次に死んだ様に寝て居るやまだを手当てする。ハッとして一番重症の煉獄さんを見ると、既に隠しの人に手当てされながら気絶して居た。



　…良かった。



　猪はギャン泣き、炭治郎は泣きながら隠しの人達に担がれてる。



坂「うらさん。」



う「…ん。」



　隠しに担がれてこっちに来た坂田を見上げると、清晴れた笑顔で笑ってた。



坂「誰も死なんかって良かったな。」



う「だな。」



　俺は浦島坂田船のリーダーで居られる様に、もっと強くなる事を決意したのだった。

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