四人の歌い手は鬼を狩る

目標 ページ41

船頭は日本中に居るが、船長は海を渡る時に乗組員の長の事を指す。



　基本生き物は、自分より強かったり権力がある者にしか従わない。



　だからきっと、柱に並ぶ程強いとされる3人を統率すると言う事は、うらた少年は3人の頼れる長なのだろう。



善「ひいぃ！うらたの鬼！可愛い顔してる癖に！」



　我妻少年の声が聞こえ、ふと中庭を覗いてみると、泣き言を叫び全力で縁側の柱にしがみついて居る我妻少年を、うらた少年が苦笑混じりに引っ張って居た。



う「煉獄さんみたいにカッコよく強くなるんだろ。目標が同じなら、一緒にやるぞ。」



善「そうだけど！！！そうだけど！！！！キツい！キツいんだもん！！！」



　うらた少年が言った言葉を否定せず、我妻少年は頷きながら絶叫する。



　…私を目標…。



『兄上の様な凄い剣士になりたいです！』



　弟の千寿郎が昔言った事を思い出し、つい最近の事が死戦を超えたばかりの所為で、無性に懐かしく感じる。



　…目標か…。



『煉獄さんは負けてない！負けてないんだ！」



　竈門少年が上弦の鬼、猗窩座に言った言葉を思い出して、凄く嬉しいが、共に、己の力が猗窩座に届かなかった事が虚しくなるが、新しい鬼殺隊員が次に進む為の踏み台になれた事が嬉しくなる。



　鬼に負け、剣士を引退した俺が目標で良いのかは分からないが、目標にされているのなら、それに恥じぬ行動をしよう。



　そう思えたら、敗北感や劣等感より、少しだけ誇りが勝った。



　…よし！



煉「うらた少年！我妻少年！」



う「！…煉獄さん、何時から居たんですか。」



煉「先程、胡蝶妹の診察が終わってな！少し散歩して居たら、二人が鍛錬に打ち込もうとして居る姿が見えてな！俺も鍛錬に参加しよう！」



う「！…よろしくお願いします！」



　縁側にある草履を履いて外に出ながら言うと、うらた少年は直ぐに頷いて我妻少年から手を離し、我妻少年が落ちてあちこち打って居るが、当のうらた少年は気にせずに木刀を2本持って来る。



善「ちょっと！俺の分は！」



う「善逸はやらないんだろ。煉獄さん！こんな奴は放っておいて…。」



善「やるよ！！やれば良いんでしょ！！！！」



煉「うむ！掛かって来い！」



　うらた少年から木刀を受け取って、左手で握って右手を添える。



　よし、家に帰ったら、千寿郎に土産話をしてやろう！



　…父上と天国の母上にも新しい、素晴らしい剣士達の話もしたいしな。

任務→←うらた少年

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す