呪い。5 ページ29
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謙也「そや、ニンジン買って帰らなんな。おし、付き合うで」
忍足くんはこの先にある八百屋さんに行こうと誘ってきた。その八百屋さんは特に奥様方の間でも結構有名で、毎週日曜日はセールが行われていた。
まぁ奥様方って言ってもほぼ大阪のおばちゃんだけど。
謙也「おっ、めっちゃ懐いてるやんかそいつ!なんやぁ俺が抱えとったときはあないに暴れとったくせに〜。」
そう言って忍足くんはウサギの体をなでまくった。
ウサギを見てみると、私の腕の中で大人しく鼻をヒクヒクさせて気持ちよさそうにしていた。
そういえば、さっきからずっと妙に大人しい。
あまりにも重いので今は両手で抱えているが、その毛並みはフワッフワで、思わず顔をうずめたくなるような純白の白さだった。
謙也「やっぱ俺よりもAみたいな美人がええんかこのぉッ!」
今度はおデブウサギのブヨブヨのお腹を揉みまくった。ニンジンなんて買う必要なんてないんじゃないかと言うほどに脂肪がたっぷりついていた。
…いや、待って。
そんなことより、空耳かもしれないけど、今彼は私に対して美人と言ったような気がする。
危うく聞き逃しそうになった。忍足くんはこんなことを言う時がたまにある。
「おまん、よぉ見たら指綺麗やな。」とか、「ええよなぁAは、スタイル良くて。俺もクビレ欲しいわ〜」とか、過去に言われたことがあった。
昨日ご飯何食べた?ぐらい自然に聞いてくるので、聞き逃しそうになったことが何回もある。
その言葉が単なる大阪ジョークなのか、それとも本当に言っているのか、そういうのに慣れていない私には分かりかねない事だった。
ただ一つ、今まで異性に美人と言われたのは忍足くんが初めてで、今すごく動揺している。
美人。
それは恵みたいな子。
私みたいなメガネでチッパイの人間じゃない。
どこをどう見たら私は美人なのか。 まぁそりゃあ、料理とゲームなら得意だけどさ。
そんな美人だなんて…
とか思いながら顔を赤くしていると、しばらく黙っていた忍足くんから冷静にツッコミが入った。
謙也「こらA、そこはノリツッコミか笑うとこやで?」
A「えっ?あぁ……いや、分かんないよそんなの…」
……やっぱ冗談だったのかな。?
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ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月4日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光也 | 作成日時:2015年9月24日 23時