私の夢。2 ページ20
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アンビリーバボー。
例えるならそんな感じ。
目を大きく開いた忍足くんの顔が目の前にあった。
謙也「な、なんで…?」
A「あのね?私本しか頭にないからさ、図書文芸部作りたいなぁって思って」
私の言葉を聞くと、忍足くんは腕を組んでうーんとうなった。
椅子を二本脚にして、股を豪快に開いた。
謙也「うんうん。せやなぁ、今考えればAには無理やりマネージャーやらせてもうてたな。なんか、堪忍な」
A「い、いや違うよっ、マネージャーはちゃんと1年間する予定だから」
謙也「えっ、今からやないんか?」
A「うん。」
1年間はしとかないと、ハラテツ先輩から何をされるか分からないしね、と心の中でこっそり言った。
謙也「んじゃあ、2年になったら図書文芸部?作るんか?」
A「そうそう、そういうこと。」
ふーん、と、それだけ言って忍足くんは二本脚にしていた椅子を元に戻した。
私は昨日借りた本をカバンから取り出した。
『book life』という題名が、表紙に大きく書かれていた。
1ページめくると、カラーの挿絵に主人公と思われる少年が、窓際で本を読んでいるワンシーンが描かれていた。その窓には、部活をしている野球部やそれを見守るマネージャーの姿が映し出されていた。
そうそう、こういう放課後に野球部のバットにボールが当たる時のあの甲高い音や、吹奏楽部のチューニングをしている音などを聞きながら本を読んでみたいのだ。
挿絵を見ながら頭の中でもんもんと妄想が膨らんでいった。
一方忍足くんはペンを回していた。
最近になってから忍足くんはよく授業中にペンを回すことをマイブームとしていた。
まだ完成とまではいっていないが、確実に毎日上達している。
忍足くんの回すペンがすっ飛んで、隣の席の子の椅子の下に落っこちていった。
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ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月4日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光也 | 作成日時:2015年9月24日 23時