選ばれし最強のメンバー ページ18
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放課後になった。
さっき白石くんが教室にやって来て、忍足くんはさっさとテニス部のところへ走っていった。
私は図書室に寄って、本を借りてから行くことにした。
テニス部にやってきて、私は目を疑った。
目をこすってみた。ほっぺをつねってみた。
でも、目の前にある光景は現実だった。
コートには忍足くん、白石くん、緑のバンダナをしている子、お坊さんみたいな人、坊主で内股の子、パッと見普通の子がいた。
昨日テニス部の前にいた同級生だ。
たぶん、死んではいないと思う。
コートにぐったりと倒れている同級生たちの目の前には、ハラテツ先輩が仁王立ちで見下ろしていた。
原「おぉおぉ、なかなかやるのぉ自分ら」
その声に反応するように、白石くんがゆらりと顔を上げた。
白石くんはラケットを握ろうとしたのだろうが、まるで握力がなくなったかのように、握ることが出来ていなかった。
その手は青いアザだらけで、痙攣していた。
カラン、カラン、とラケットが握られては落ちる乾いた音が、妙に大きく耳に届いた。
白石くんは歯を食いしばっていて、すごく悔しそうだった。
原「ほぉ。まだ粘るかい」
ハラテツ先輩がサーブの構えをとった。
まさか、と思った時、私の体はもう白石くんをかばっていた。
その場に借りて来た本を放り投げて、コートに走った。
白石くんを頭から抱きしめた。
ぎゅーっと、頭潰れるんじゃないかというぐらい強く抱きしめた。
原「おっ、ちょうどええところに。マネージャー、こいつら運ぶの手伝えや」
A「えっ?」
男の子なんて運んだことないですよ、みたいな顔でハラテツ先輩を見上げた。
原「なんちゅー顔してんねや、ほれ。」
A「あ、はい…」
突然、抱きしめていた白石くんの頭が重くなり、私の膝の上にポスっと乗っかった。スースーと寝息を立てて、寝ているようだった。
何人かの先輩が、忍足くんたちを部室へ運んだ。
私はハラテツ先輩にあるものを渡された。
黄色と緑の服を渡された。
それぞれサイズが違っていた。
原「こいつらが目ぇ覚ます前に、そばに置いといてやれや。んじゃ、あとは頼んだでぇ」
そう吐き捨てて、ハラテツ先輩や他の先輩達は部室から出ていった。
私はサイズ通りに、同級生たちのそばにその服を置いていった。
どの子も、廊下ですれ違ったことすら覚えていない、初めて見る顔だった。
でも不思議と、このメンバーを見ていると、今後何か、すごいことが起きそうな気がしてきた。
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ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月4日 22時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光也 | 作成日時:2015年9月24日 23時