021:死より辛い苦痛 ページ33
「…おやすみなさいませ…」
「…はい…」
「っ、でっでは！！」
Aは、なかなか肌に馴染むようになってきたベッドに顔を埋めた。
「…どうしよう…」
その声はとても小さいものだったので、隣にいたリリィにも聞こえなかったようだ。
リリィは、少し身じろぎをして、夢の世界へ落ちていこうとしている。
(…いや、もしかして、聞こえないふりをしているのかも)
Aがそんな思考に陥ってしまったのは、一重に最近の船員たちの態度にあった。
…数週間前、Aが集会場から逃げ出してから、船員たちが、Aに、まるで腫れ物を触るかのような態度で接するのだ。
「ほんと、どうしよう…」
こうなってから、何回目かの同じ言葉を吐く。
その様子から、何らかの形で罰を下されるのだろう。
(殺されるかも、なんて…
そんなのここにいれば当たり前。
もう慣れてしまった、でも少し、疲れたよ…)
Aの意識が、ズルズルと闇の底へ堕ちていく。
そのまま、睡魔に身を任せようと、目を閉じた時だった。
「………おい」
「……っ！？」
低い声。
その声が、誰のものだかわかったAは、ベッドから飛び起きた。
「…か…KAITO、さん…？」
そう、胸にいくつもつけられた勲章、歩くたびに聞こえる布が擦れる音…Aの目の前に立っていたのは、KAITOその人だったのである。
(何故、こんなところに…
KAITOさんは、こんなところに来る人じゃないのに)
正直、Aはこの男が嫌いだった。
いつも感情がわからない顔をして、平気で人を傷付けるから…というのは建前に過ぎず、ただたんに初めて会った時に首を絞められたせいで苦手意識が埋め込まれただけかもしれない。
まあ、KAITOはAに嫌われたところで気にしないだろうことはわかっていたが。
…とにかく、沈黙に耐えきれず、口を開きかけたAにかぶせるようにして、KAITOが言葉を発した。
「来い」
「は、はい…」
Aは、言われるままにベッドから降りて、スリッパを履いた。
(どこに行くんだろう…)
暗い船内を歩いていく。
この人が私を呼びに来たということは、恐らく罰を与えられるのだろう。
(…拷問室、とかだったら嫌だな)
そう考えながら着いたのは…
「ここだ」
「え…？」
KAITOの、自室だった。
そして、KAITOに導かれるまま部屋に入ったAは、自分の愚かさを痛感することになったのだった。
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サーシャ - アサミさん» ありがとうございます！！ しばらく更新ができなくてお返事が遅れてしまいましたが、とても感謝しています！続編でもそのイメージを崩さないよう頑張りますので、良ければよろしくお願いします。 (2017年11月6日 21時) (
レス) id: 2ec897ff99 (このIDを非表示/違反報告)
アサミ - その文章力が羨ましいです！ＫＡＩＴＯはかっこいいし、レンくんは可愛いし！続きを楽しみにしています！ (2017年10月23日 23時) (レス) id: 4b0b8ba6fb (このIDを非表示/違反報告)
水無月 - 更新お疲れ様です！もう、ヒロインちゃんに惚れました(*´ω｀*) (2017年8月26日 21時) (レス) id: 3308dd359c (このIDを非表示/違反報告)
サーシャ - めんごねんさん» ありがとうございます！ そんなふうに言って頂けると、書いていてとても楽しくなります！！ これからも、楽しいと思ってもらえる様な文章を書けるように、頑張りますね♪ (2017年7月8日 7時) (レス) id: 2ec897ff99 (このIDを非表示/違反報告)
めんごねん(プロフ) - はじめまして！( *・ω・)ノこの作品を見つけて読み始めたとき、完全に心奪われました！！文章表現がとても好きです！更新、頑張って下さいp(^-^)q！ (2017年7月4日 21時) (レス) id: 568c7ed2fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サーシャ | 作成日時：2016年9月26日 21時
