長い、長い、夢。 (ページ42)

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私の研修生活をあと1か月と少し残した頃。

私の携帯が震えた。

表示されたのは――母。

一瞬電話に出るか躊躇して、結局出た。

母「もしもし？元気にしてる？」

Y「うん、元気だよ」

母「研修はどうなの？」

Y「楽しいよ」

今日は、何もなく電話を切れるかも。

そう思った矢先、

母「よかった。
研修終わったらそういうことも全部やめるんだから、まあ最後に思い出残してきなさい」

Y「…なにそれ」

母「だから、芸能界に就職なんてさせないから。
今はよくても、絶対続かないのよ」

これだから。

だから電話に出たくなかった。

ちょうど仕事で不調が続いていたこともあって、母の言葉がいつも以上に刺さった。

Y「絶対やめないから。勘当されてもやめない。」

私の学歴を周囲に自慢している母親は、私を勘当なんてできない。

だからこそ自慢できない要素である芸能界から私を引きはなそうとしているのだ。

母「学費出してあげてんのは誰だと思ってるの！」

Y「ありがとうございます、もう切るよ」

母「何その言い方！
そういう風に事務所で教えられてるの!?
それとも事務所にいる誰かの影響受けてるの!?」

頭の中で何かが切れる音がした。

私を蔑むなら自由にやれ。

でも、あの世界を、あの人たちを蔑むのは許さない。

Y「いい加減にしてよっ！
なんでわかってくれないの？
そうやって否定ばっかりすんのが逆効果だっていつになったらわかんの!?
もう遅いから！」

相手の答えを聞かずに切った。