さんびゃくなな!! ページ12
*T-side
廃ビル近くの建物の中にて。
双眼鏡を目に当ててビルを見張っていた
三橋がそっと離す。
三橋「今井は三階の窓辺だな」
谷川「み、見えたのか?!」
三橋「おう。さてさて。
オメーら例の物は用意出来てっか??」
三橋がくるりと振り返った先には
Aと伊藤がガスマスクを二つずつ持っていた。
Aが持っていた一つを受けとる。
三橋「これであの変な匂いは吸わなくて済むだろ」
谷川「こんなもんどこで手に入れたんだよ」
「悪趣味な理科の先生がいるんです。
脅せばチョロいですよ」
谷川「……」
心の中で軟高の理科の先生に謝りつつ、
ガスマスクを装着した。
一気に視界は暗くなり、喋りにくくなる。
Aは顔が小さくてサイズが合わないのか
両手で支えてるようだった。
後ろに回ってキツく閉めてやると
重くなった頭を上下にしてお礼してくる。
三橋を先頭に廃ビルの裏口へ回った。
一応、見張りの人間がいるが、一人だけ。
三橋が伊藤に合図をして、
素早く二人は飛び出した。
三橋「わりーね♪」
男「……ッッ?!」
三橋が背後から男の口を押さえて、
伊藤がみぞおちに拳を入れる。
悲鳴をあげる暇すら与えない
仕事の早さにたまらずゾッとした。
不憫な男は三橋の腕の中でぐったりしていたが
呆気なく地面に落とされる。
谷川「……容赦ねぇなぁ」
「谷川さんたちにしたことと比べたら優しい方です」
谷川「……お前、三橋に似てきたな」
「冗談はよしこちゃんです」
谷川「そういうところだよ」
それから俺たち四人は頭だけ覗かせて、
正面玄関を確認。
どうやら裏口での襲撃には一切気づいてないようだ。
三橋「理子が言うには登校中も何人かでツッパリ狩りしてるらしいしな。今しかねぇ。突入するぞ」
三橋にしては珍しい、強行突破か。
俺は頷き、次の合図を待った。
が。
三橋「どーん」
谷川「うわぁっ?! おま、バカ……ッ!!」
なんの前触れもなく三橋に背中を蹴られて
俺はバランスを崩しながら前に出てしまい、
スーツ男たちのサングラスが
ぐりんっとこちらを向く。
三橋「逃げろ谷川」
伊藤「あとで助けにいくから」
「頑張って下さい」
谷川「テメェら……!!」
ちゃっかり物陰に隠れながら
声援を送ってくる三人に何もできぬまま、
俺は入ってきた裏口へ猛ダッシュした。
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いちご - もうあと少しでお別れなんですね…もっと見たいですっ!完結した後でも何度も読み返しますね!!最後まで頑張ってください! (2019年1月23日 0時) (レス) id: 38e4f6d3da (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - なのなのさん» そーだよね……直してくるっ (2019年1月20日 23時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの - 紫雨さん» でも、字幕入れたら「理子ちゃん」だったと思うよ?私は統一した方が良いと思う…。急に変わったら違和感あるしね(笑) (2019年1月20日 23時) (レス) id: 544df7dfb5 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - なのなのさん» 正直理子ちゃんの文字迷ってるんだよね…小さいことなんだけど、漫画だと「リコちゃん」って呼んでてさぁ…ドラマどっちかわからないけど、ずーっと「理子ちゃん」できたからどーしよーって…笑笑 (2019年1月20日 19時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの - ごめん、341だった…!間違えちゃった、ごめんね。 (2019年1月20日 16時) (レス) id: 544df7dfb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神室紫雨 | 作成日時:2019年1月4日 20時