検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:538,634 hit

ひゃくきゅうじゅうなな!! ページ1

*K-side








夕暮れの公園。


ベンチに座っている俺の目の前にしゃがむAは
小さい手のひらで怪我の処置を済ましていく。





「派手に怪我しましたね……染みますよ」

片桐「……っ」

「痛いですか?」

片桐「平気だ。……気にするな」




時間も時間なので子供一人いない公園は
俺とコイツしかいない。


二人きりになるのは滅多にないので
どうも心が落ち着かなかった。



Aは血を拭く時も容赦がなく、

指に付くぞ、と注意しても
「気にしません」と言って続けていく。





「服の中も殴られてますよね。脱いでください」

片桐「いい。それは」

「……片桐さん」

片桐「なんだ」

「……っだいじょうぶ、ですかッ……」





突然、Aは眉をぎゅっと寄せて
唇を強く噛むと目の中に涙を溜めた。


なぜ泣きそうになってるのか分からず、
行き先のない俺の手が膝の上でギクシャクする。






片桐「ど、どうしたんだよ、おい、泣き止め」

「ぅぅぅ……片桐さん〜……」




包帯をぎゅっと握りしめたままボロボロ泣く。


今まで喧嘩したあとにベソかいてる奴は
何人も見てきたが、

こんな風に泣く奴は初めてだ。



なんというか、綺麗だった。

綺麗な涙だと思った。



……鼻水すげーけど。






片桐「なんだよ。俺にどうしてほしいんだよ」

「片桐さん痛いですよね……」

片桐「は?」

「私がもっと早く来てたら、お兄ちゃんも、あんなにならなかったのに……ッ」

片桐「……お前が来たところで変わらねーよ」

「そうですけどッ!! でも何か出来たかもしれないじゃなあですかッ!!」






そんな理由で、なんでお前が泣くんだよ。



……ほんとコイツ、馬鹿ちんだ。

出会ったときから、変わらない。




純粋で、真っ直ぐな奴。









俺は思わず、ガキみたいに泣くAの頭に
包帯の巻かれた手を乗せた。


潤んだ瞳が俺をとらえる。


湧き出てくるよく分からない感情を押さえ込んで、
ゆっくり口を開いた。






片桐「……A。相良を……、…」

「え?」

片桐「…………止めてくれ」

「……片桐さん?」

片桐「……軟高が、あぶねぇ」







大きく見開いた瞳から涙が伝う。


それを拭ってやり、そのまま頬に手を添えた。


温いその頬はビックリするくらい柔らかい。









片桐「お前にできること、してくれ」









.




part5入りました!
そして最終回!やだ!終わらないで!!

ひゃくきゅうじゅうはち!!→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (467 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1012人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

nasiremon - 伊藤兄がかっこよすぎる! 涙腺妨害ですよ…同感できるところが多い…うぅぅぅ… (2020年5月13日 1時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 牡丹杏。さん» ぜひぜひ続きも見てください(*´∇`*) (2018年12月27日 15時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹杏。(プロフ) - えーここまでで涙ボロボロなのに、続編見たらどうなるの。私の涙腺w 楽しみにしてまーす (2018年12月27日 15時) (レス) id: 48235b53b0 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - ライアーさん» コメントありがとうございます!とても励みになります!これからもキュンキュンしてもらえるようらがんばります!! (2018年12月26日 14時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
ライアー - 続編すっごく楽しみにしてます。頑張ってください!応援してます!!! (2018年12月26日 13時) (レス) id: ca359b9f59 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:神室紫雨 | 作成日時:2018年12月16日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。