伊藤の妹は三橋にゾッコン。Part5【今日から俺は!!】

にひゃくじゅうなな！！ ページ21

*M-side








伊藤と別れ、何事もなく飯を食い、

風呂から上がるとインターホンが鳴った。





愛美「ちょっと貴志ー! 出てくれるー?!」

三橋「わーったよ。頼み事一回につき1000円な」

愛美「明日から三食飯抜きにしてやろうか」

三橋「うそだよ母ちゃん大好き」

愛美「気持ち悪いんだよ早く玄関出てこい」





息子に気持ち悪いはないでしょー……。

と思いつつ玄関を開けた。



時刻は9時すぎ。

こんな夜に誰だよ………、






三橋「………は?」


「………っ三橋さん、」





なんとそこには、制服姿のままのAが。


今にも泣きそうな顔でスカートの裾を
握りしめて俺を見上げていた。





見たところ傷もない。







三橋「どうした?」





出来るだけ優しく聞いてやると、
ついにAはポロポロと涙を溢してしまう。


鼻水を啜るたびに小さな体がびくついた。






三橋「………とにかく上がれ」

「……っ、…」

三橋「な?」







コクリとも頷かないAの手を取り、
中に入れてやる。


幸い、母ちゃんは皿洗い、親父はお風呂に
入ったところなので誰にも見つからなかった。




そのまま俺の部屋に上がっていき、
Aをベッドのところに座らせる。








Aはまだ泣いていた。







三橋「……こんな夜遅くに出歩いてんじゃねぇよ」

「ごめん、なさい」

三橋「伊藤は?喧嘩でもしたのか?」

「……ううん」

三橋「じゃぁどうしたんだよ」






Aは一生懸命、セーラー服の袖で
涙を拭うが止まりそうにない。




慰めるの、得意じゃねぇんだけどな……。






俺は出来るだけゆっくり近づいて
隣に座り、震える肩を寄せてやる。



少しだけだが、Aは鼻水を啜るのを止めて
スカートを握る手も緩めたようだ。







「……お兄ちゃんが、帰ってこなくて」

三橋「は……?」

「いつもは連絡してくれるのに、っ、なにもなくて……」

三橋「……あの野郎」

「三橋さんと、一緒かなって……でも、お兄ちゃん……っ」

三橋「分かった。もう話すな」






久々にAの温い頭を撫でてやる。


今井の見舞いに行ったときから不安がってたから
ここまで怯えるのも無理はない。






三橋「暫くここにいろ。俺がいるから」

「……、はい」

三橋「ったく。泣き虫ちゃんだなーお前」

「ずびっ、………うっさいです」

三橋「鼻水きったねーぞ」

「女の子だって鼻水流すんです……」

三橋「可愛くねーなぁ……」

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