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伊藤「っのわぁ?!」

「わぁぁ?!」






私の頬を引き寄せた、と思いきや

お兄ちゃんは自分のほっぺを
思いきり殴った。



そのままよろよろと机に頭を抱える。







……びっくりした。


キス、されちゃうかと……。




ドキドキしてる自分にドキドキしてる。







伊藤「ほんっとごめんA!!
俺、なんか、すげぇ頭がぼーっとしてて!!」

「あ、うんしょうがないよ。
お兄ちゃんの嗅いだ香水のせいだから」

伊藤「え?」

「あれね、『惚れ薬』の香水バージョンなの」




「ホレグスリ……」と復唱するお兄ちゃん。


心なしか、まだ顔が赤い気がする。






「異性にめちゃくちゃ惚れちゃうってやつ。
本当はさっさとゴミ箱に捨てようと思ってたんだけど
なんかの拍子に落としちゃったみたいで」

伊藤「へえ…」

「でも拾ったのがお兄ちゃんでよかった。
変な男が使って他の女の子が巻き込まれたら
大変だったもん」

伊藤「……」

「たしか作用が切れるまで15分くらいだから
帰ってる途中でマシになると思うよ。
だから…」








お兄ちゃんが、頭を机に当てたまま、
小さい声で何かを呟く。




「え?」

伊藤「……、…」

「ごめん聞こえな──」




少し近寄った瞬間、

ガバッと顔を上げたお兄ちゃん。


さっきよりも顔は真っ赤でどこか潤んだ目をしてて。


熱を帯びた熱い視線に何も言えなくなってしまう。






伊藤「……俺だって、余裕ないよ」

「へ……?」

伊藤「今もめちゃくちゃ我慢してる」

「へ……?!」

伊藤「ごめんA、気持ち悪いよな。
ほんとごめん」

「いやでもほら、薬のせいだからさ」

伊藤「……薬切れるまででいい」

「え?うん…」







お兄ちゃんが真っ正面に立つ。


こうして見ると結構な身長差だ。





窓辺の西日が逆行で、どんな顔をしてるのか
ちゃんと見えない。









伊藤「少しだけ………

…手、…………繋いでたい」


「手? はい」






なにをそんな遠慮がちになってるんだろう。


手なんてたまに繋いだりもするし。

まぁ高校生になってからは滅多にだけど。




お兄ちゃんは何度も「いいの?」と確認してから
そっと握ってきた。


恐る恐る、割れ物に触れるみたいに。





いつもと全然違う握り方のせいで

無駄にどぎまぎしてしまう。








そこでようやく気づいた。









お兄ちゃんにとって私は今、一人の女の人なんだ。









「……はわわ」







結構、恥ずかしい。

、3→←#どうなる兄妹?!



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めーぷる(プロフ) - 紫雨さん» 了解しました!ありがとうございます!! (2019年1月3日 21時) (レス) id: ed137c864e (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - めーぷるさん» リクエストありがとうございます!ただ、申し訳ないのですがこのpart3は恐らく今もらってるリクエストでpart4へ移行すると思います!本当に本当に面倒で申し訳ないのですが、移行した際にもう一度リクエストしてもらってもいいですか?申し訳ないです(*_*; (2019年1月3日 21時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
めーぷる(プロフ) - すみません、リクエストです…!色々あって心がボロボロな妹ちゃんを三橋くんが死ぬ気で助けるって話お願いしてもいいですかっ (2019年1月3日 19時) (レス) id: ed137c864e (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - jr00rtk417hさん» なにか名案があれば教えてください!(笑) ありがとうございます!がんばります(≧∇≦)/ (2019年1月3日 18時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
jr00rtk417h(プロフ) - 確かに…(o_o)そこが問題ですね笑笑いつも楽しみにしてるのでこれからも頑張ってください! (2019年1月3日 16時) (レス) id: 279b567dfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神室紫雨 | 作成日時:2018年12月6日 22時

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