伊藤の妹たちの番外編 part3【今日から俺は！！】

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椋木「それにしても……盛大にずっこけたなぁ」

「……」






保健室にて。


大きな絆創膏と包帯を巻いた手のひらを見て
椋木先生がむしろ感心するように頷く。




最終競技の色別リレーが
さっき終わったところなんだけど、

1走目に走り終えた私は
全く関係のないところで思いきり滑った。



ゴールしたあとにジョグしながら
トラックのなかに入ろうとしたら、ね。



見事佐川さんの立てたフラグを回収したわけで。






伊藤「Aー!」

「お兄ちゃん!三橋さんまで……」

三橋「ぎゃははは! まじで傑作!! 腹痛ぇー!!」

「……」




三橋さんは顎が外れてしまう勢いで笑ってる。

そのまま外れてしまえばいいのに。



お兄ちゃんは手当てし終えた膝を見て
心配そうに頭を撫でてくれた。




伊藤「すっごい転んでたよね、大丈夫?」

「擦りむいただけだから……」

三橋「今日のMVPだなお前!」

「うるせぇです」




椅子から立ち上がってみると
まだ少しだけズキズキした。

あんだけ深く擦りむいたから仕方ないけど。


と、その時またまた保健室の扉が開いて
今度は佐川さんと理子さんが入ってきた。





佐川「Aさぁぁんｯｯ!!」

赤坂「Aちゃん!!大丈夫?!」

三橋「お前ら大袈裟すぎだろ。あんくらいで」

赤坂「なによ!三ちゃんが一番にAちゃんのところ走り出した癖に!!」

「えっ」




思わず振り返ると三橋さんは顔を赤くして
嫌そうに眉を寄せてた。




三橋「な、ちげぇわ! 俺はその、トイレ行くついでに? ここ寄っただけだし??」

佐川「素直じゃないっすねぇ三橋さん」

三橋「あ?んだとコラ」

赤坂「Aちゃん大丈夫?」

「はい。えへへ、お恥ずかしい……」

伊藤「帰りおんぶしようか?」

「それは大丈夫。ていうか色別どっちが勝ったの?」

椋木「んー見たところ盛り上がってるのは白だねぇ……」

佐川「てことは優勝は白組かぁ……」







……なんだろう。


全然喜べない終わり方。









三橋「おい」

「?」

三橋「お前が無様で惨めで可哀想だから、
帰りは俺が荷物持ってやる」

「え……」

三橋「礼はパスタでいいぜ」

「あ、じゃぁいいです」

三橋「はぁ?!」

伊藤「おい三橋!!早く閉会式行くぞ!!」

三橋「伊藤!テメェの妹マジで生意気なんだけど?!」







……来年は最後まで、閉会式まで出たいなぁ。









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