伊藤の妹は三橋にゾッコン。Part4【今日から俺は!!】

ひゃくはちじゅうはち！！ ページ41

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「ぇ……」







それが何なのか、

理解が追い付かない。



唇に触れていたものはすぐに離れ、


両頬にあった三橋さんの大きな手が
後頭部と背中に回ってきた。







まるで私がどこにも逃げないようにするみたいに、
強く抱き締められる。







「三橋さん……っ」


三橋「……無事でよかった」


「っ、……ごめんな……さぃ…」


三橋「なんで謝るんだよ」


「だって、私……っ、生意気で…、……
強くないし……、…足引っ張ってばっかりなのに……」


三橋「……」






止めたい涙はむしろ私の意思に逆らうかのように
どんどん溢れてくる。


ぎゅっと学ランを握りしめたら、
それに答えるように髪の毛を撫でてくれた。







「ごめんなさい……っ、…」

三橋「……A」

「ぅ……っ、はぃ……」

三橋「オメーはよ。生意気だぜ。そんで可愛くもねぇ」

「……っ」

三橋「胸もねーし性格もわりーし」




いつもならイラッてくるのに、


今日はその一つ一つの言葉が温かくて

緊張してガチガチだった体をゆっくり

溶かしてくれてるみたい。







三橋「弱いくせにすぐ面倒ごとに頭突っ込んでさ。
あぶねぇって注意しても聞く耳持たねぇし」

「……ぁぃ」





三橋「……なんもしなくていいんだよ、お前は」








……え?





三橋さんの顔を確認しようと思って体を離そうとした。


けど、強い力に抱き締められて、
私はむしろさっきよりも三橋さんと密着。


涙はまだ止まらない。









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三橋「……お前は、俺の隣で居てくれればいいんだよ」


「……ふぇ?」

三橋「ふは、なんつー声出してやがる」





肩越しに笑う三橋さんの息が、
耳にかかってくすぐったい。



大きな体に包まれて、

温かい手が撫でてくれる。




心が満たされていく。









三橋「生意気でいいし、可愛くなくていい」

「……っむねは?」

三橋「んーあった方がいいな」

「……む」



三橋「くくっ……もうなんでもいいんだよ。
お前がお前なら、俺はそれでいいから」









でも……と呟いた三橋さんは
ゆっくり私の体を離すと、

金髪の前髪の向こうから真剣な眼差しを向けてくれた。






吸い込まれてしまいたくなるような、瞳で。









三橋「約束しろ。

危ないことだけには巻き込まれんな。

巻き込まれんなら、俺も巻き込め」









私の、鼻水を啜る音が工場に響いた。



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