ひゃくろくじゅうはち!! ページ21
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目の前を腕が通過してきたかと思うと、
ピッとコーヒーのボタンを押してしまった。
赤坂「三ちゃんっ!」
三橋「ごちそーさん、理子」
「三橋さん……」
三橋「悪いな。選ぶの遅ぇから押しちまったぜ」
三橋さんだ……
こんな間近でしっかり見るのはいつ以来だろ……
私は感動しすぎて涙が出そうになった。
必死にそれを我慢していると、
「あのっ」と背後から緊張ぎみなお声が。
男71「僕少し前に告白させてもらった者ですが……!」
「え」
三橋「んだよてめぇ」
しかし男の子の目には三橋さんも理子さんも
見えていたいようで。
顔を真っ赤にしながら私のほうに詰め寄ってきた。
すかさず間に入ってくれる三橋さん。
男71「どうしても諦めきれなくて…!
もう一度考えてはもらえませんか?!」
「えーと……もう一度言いますけど、あのですね」
男71「彼氏さんはどんな人ですかッ?!
ちゃんとAさんのことを大切にしていますかッ?!」
三橋「……」
「落ち着いてください。貴方に関係ないですし、そもそも目の前に───」
三橋「おい兄チャン」
低いくて冷たい声。
三橋さんは突然、男の子の顔面を鷲掴みすると
私を背に置いてハッキリ言い放った。
三橋「コイツは“俺の”だ。
テメェみたいな野郎に渡さねぇから、諦めろ」
「……!」
三橋さん、少しだけ耳が赤い。
恥ずかしいのにそんな風に言ってくれるなんて……、
やばい、幸せすぎて溶けそう。
液体になりそう。
その時、耳に妙なざわめきが聞こえてきた。
「三橋先輩カッコイー…!」
「あんな風に女の子守るなんて素敵…!」
「いいなぁ、あの人羨ましい……!」
「アタシも守られたい〜!」
……。
そっと辺りを見渡してみれば、
一年生らしき女の子達が三橋さんのことを
お目めハートにして見つめている。
早くも三橋さんの魅力に気がつくなんて……
優秀な新入生が多いみたい。
いつもなら喜ぶべきことなのに、
今はなぜか気持ちがあせっていた。
赤坂「三ちゃん、カッとなったのは分かるけど、いきなり顔面鷲掴みは良くないわ」
三橋「駄目か?」
赤坂「喧嘩しないほうがモテるわよ」
「み、三橋さんはモテたいんですか?」
三橋「当たり前じゃ」
ふんぞり返って答える三橋さん。
可愛いし素敵なのに、
やっぱりじわじわと気持ちが落ち着かなかった。
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天孤 - 現実は本当に甘くないんですね〜 (2019年8月2日 14時) (レス) id: 7eedb3b556 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - そうだね!見よう!泣くマジ泣く (2018年12月16日 20時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
激辛麻婆豆腐 - カ……カナリヤ…………私だって……こんな激辛な現実は見たくない!でもしょうがない……残された時間で私たちが出来ることを今一度考えて楽しく『今日から俺は!!』見よう!………泣いても笑っても最後だから………。 (2018年12月16日 18時) (レス) id: 13769de09e (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - やめて!!!現実を突き止めないで!!!!!!! (2018年12月16日 12時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
激辛麻婆豆腐 - やだ………明日で今日から俺は!!が終わっちゃう…………… (2018年12月15日 22時) (レス) id: 13769de09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神室紫雨 | 作成日時:2018年12月1日 12時