夢の中でくらい。,1 ページ48
ちょいダークなお話です。
イメージが少し変わるかもしれません。
閲覧ちょこっと注意です……(-_-;
.
それが夢だと、すぐにわかった。
なら、目の前で俯くこの女の子は誰だろう。
俺の存在に気づいたその子は、
恐る恐る顔をあげて、
怯えた目で俺を見上げてきた。
“お兄ちゃん……”
掠れるような、弱々しくも、可愛い声。
足首に付いた鎖を引きずる音が
暗い部屋に響いた。
ああ、良かった。
Aか。
伊藤「A、大丈夫?」
この子の目には一切光がなく、
虚ろな黒目に俺の顔が映し出される。
頬や鎖骨に出来た痣は
結構薄くなってきてしまっているから、
あとでまた新しい印を付けてあげないと。
.
これは、きっと“独占欲”が生んだ夢。
現実じゃないのは分かってるし、
俺の本心でもないことも分かってる。
Aを傷つけたい自分なんて、
いるわけがないから。
これは全て、俺の“独占欲”が作ってる。
.
“みつ……はしさん……”
伊藤「……A、俺以外の名前を出しちゃ駄目だろ?」
優しくその口を塞いであげる。
苦しそうなAはボロボロと
目から涙を溢した。
可哀想に。
他の奴なんか、忘れてしまえばいいものを。
忘れられなくて、苦しんでいる。
可哀想に。
伊藤「それと、俺は“お兄ちゃん”じゃなくて、
“真司”だろ?」
“っ……ごめんなさい”
伊藤「怒ってないよ。謝らなくて良いから」
可愛い可愛い、俺だけのA。
小さいときからずっと一緒。
この子はずっと、俺のもの。
伊藤「俺以外の奴を忘れちゃえば良いよ
そしたら、きっと楽になれる。
苦しまなくて良いんだ」
“……うん、『真司』だけでいい”
伊藤「俺も。Aがいてくれるだけで、幸せ」
今度は唇で、Aの口を塞いであげた。
嗚咽のような声が暗闇に響いて俺の
耳に届いてくる。
.
これが夢だと、分かっている。
だから、今だけは……
.
.
伊藤「A……、
────あ い し て る よ 」
今だけは、俺だけの─────。
.
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Mia - 三橋と妹ちゃんのキスシーンの絵が欲しいです! (2019年1月26日 16時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - manaさん» ありがとうございます((T_T))でも神じゃないですよ!修行中の身であります(*´-`) (2018年12月10日 22時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
mana - 神かよ…絵上手すぎじゃないですか!? (2018年12月9日 14時) (レス) id: 9204f626b9 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 更紗さん» 了解です!リクエストありがとうございます(*´∀`)続編で書かせていただきます!! (2018年12月6日 15時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - なーなーさん» ありがとうございます(*´∀`)こじらせた愛な感じが私も好きなんですよね笑笑あまり書かない雰囲気なので楽しかったです(#^^#) (2018年12月6日 15時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神室紫雨 | 作成日時:2018年11月20日 21時