e p i s o d e , 20 ページ21
.
お昼の時間。
私はいつものような仮眠室にやって来た。
初めの頃は場違い感が半端じゃなくて
とても冷たい目線を色んな人に向けられたけど
渡海先生の知り合いだと分かれば何も
言われなくなる。
「渡海先生!!」
「ん、どうも」
「毎日この時間のために頑張ってます」
あっそ、とやっぱり冷たく流されてしまう。
でも机の上には二つのお茶碗が
用意されていたので少し嬉しかったり。
「いただきます!!」
熱々のご飯が卵と本当によく合う。
ふりかけや海苔も試してみたけど、
やっぱり卵以上に合う物はない。
「いつも思うけど、
すげー食べっぷりだな」
「食べ盛りなんです!!」
「良い大人が食べ盛りね」
「先生こそ一杯食べないと
過労死しちゃいますよ」
ソファーに座って何やら難しそうな
資料に目を通す渡海先生。
こうしてみるとやっぱり
お医者さんなんだなあ。
「仕事は? うまくいってんの?」
「んー……たまに苦労はしてますけど、
充実してますよ」
「ふーん……わっかんねぇ」
「子供だめですか?」
「苦手」
「確かに渡海先生、
子供に囲まれて身動きとれなくなりそう」
「あ?」
「今度遊びに来ませんか?
みんな悪魔さんに会いたがってますよ」
にやにや笑いながらからかうと、
「生意気」と言ってファイルを投げつけられた。
顔面に当たったんですけど。
「渡海先生!!」
大慌てで現れた世良先生は
もう既に汗だくで、
渡海先生は振り返らずに用件を聞く。
「患者さんの様子が急変して……、
オペ室に来てくださいッ!!」
「……早いな」
そう言うなりご飯を一気に飲み込んで
白衣を羽織ながら歩き始める。
が、途中で足を止めて私の方を振り返った。
「A」
「?」
「夜またご馳走してやるよ」
「……ふふっ、じゃぁおかず用意しておきますね」
いってらっしゃい。
猫背な彼に手を振れば、
柔らかく微笑んで答えてくれる。
.
私と渡海先生は、
患者と医者というそれだけの関係。
でも、今はどうなんだろう。
あの人の支えになれてるだろうか。
患者の時は何度か、
先生が一人で違う世界に立っている
ように思えたときがあった。
でも今は、どんなことがあっても、
.
────私が先生の世界に残ってやる。
最期の、最後まで。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 748人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫雨(プロフ) - :さん» こちらこそとても嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)そんな風に言って貰えて本当に幸せです(´；ω；`)ありがとうございました！ (2018年7月15日 18時) (
レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - ゆかりさん» さいごまで読んでくださりありがとうございました(*´∀｀)キュンキュンしてもらえて良かったです！ (2018年7月15日 18時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 麻里さん» 最後まで読んでくださりありがとうございました(*´∀｀) (2018年7月15日 17時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
: - お疲れ様でした！もう本当に毎回楽しみで完結となると少し寂しいです(´・ω・｀)素晴らしい作品を読ませていただきありがとうございました。 (2018年7月15日 15時) (レス) id: 2561c8f55b (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 完結おめでとうございますー！最後の最後までキュン止まらなかったー！ (2018年7月15日 7時) (レス) id: de2b78e93f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神室紫雨
| 作成日時：2018年7月6日 14時
