episode,15 ページ16
*S-side
三橋の経営している旅館は
想像してるよりも綺麗で女ウケしそうな感じがした。
智司ともう一度顔を見合わせて、
ゆっくり扉をスライドさせる。
すぐに出迎えたのは作業服を着た従業員。
「いらっしゃいま」と言いかけて、
悲鳴をあげて逃げてしまった。
俺の目付きの悪さか、それとも智司のヤクザ面か。
どちらにせよ、人の顔見て逃げるとは……。
「猛さん!!智司さん!!」
悲鳴に気づいたのか、入れ違うようにAが現れた。
ビックリしたように目を見開いてから、
さっきのやつとは真逆で嬉しそうに
微笑みながら駆け寄ってくる。
……やっぱコイツ、ずれてるよな。
「お泊まりですか?」
片桐「いや、そうじゃない。三橋はいねぇのか?」
「“貴志”なら、たぶんアパートの方で寝てますよ」
相良「……へぇ」
随分あっさり呼ぶようになったんだな。
そりゃそうか。
結婚して、少し経ってるし。
俺が別の理由で不機嫌になったと思ったのか、
Aは心配そうに「呼んできますか?」と聞いてきた。
相良「伊藤はいねぇのか?」
「お兄ちゃんは港の方に行って漁師さんのお手伝いしに行ってます。昼過ぎには帰ってくるんじゃないかなぁ……」
相良「は?じゃぁ今経営者ナシでやってんの?」
「この旅館のオーナーってだけで、三橋さんは特に旅館の方に顔出さないですよ」
……さすがと言えば、さすがか。
そうなってくると、一つ違和感がある。
それを隣の智司が指摘した。
片桐「なんでAは旅館の服を着ているんだ?」
智司の言うように、Aは髪の毛を一つに束ねて
薄桃色の着物を着ている。
向こうにも見えた女性も旅館の人だろう、
似たような着物だった。
Aは少し照れくさそうに「いやぁ……」と
呟くと、律儀に両手を前で揃える。
「一日従業員をやらせてもらってるんです」
相良「従業員?」
「やってみたかったんです、おかえりなさいませ、とか」
えへへっとはにかむA。
高校の時から変わらない、あどけなさの残る
笑顔に不意を突かれてまともな顔が出来なくなる。
片桐「似合ってるぞ、A」
「へ?!」
相良「智司……」
「じゃ、じゃぁその……智司さんも……着ます??」
片桐「それはねぇだろ」
「がーん」
.
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モモカ(プロフ) - この作品二周目なんですけど、何か感動しました。このような神作品をありがとうございました (2021年9月3日 9時) (
レス) id: 9e4eb5cb24 (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - 午後の爽健美茶さん» こちらこそ完結後も読んでくださって本当にありがとうございます！久しぶりに自分の作品を検索したらコメントをいただいていたので思わずお返事してしまいました。不快に思われたら申し訳ありません。午後の爽健美茶さんにとって素敵な日になりますように。 (2021年7月21日 23時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - 午後の爽健美茶さん» 元、神室時雨です。とても温かいコメントをありがとうございます！小説を書いているときから見守ってもらえていたことにとても嬉しく思います。そして、終わった後もまた読んでくださって…本当に感謝の言葉が気持ちに追いつきません。 (2021年7月21日 23時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
午後の爽健美茶(プロフ) - こんなに素敵な作品に出会えて本当に幸せです。三橋と夢主ちゃんとのストーリーを完結まで書いてくださって本当にありがとうございます。 (2021年7月3日 18時) (レス) id: 3d1b2a5acd (このIDを非表示/違反報告)
午後の爽健美茶(プロフ) - コメント失礼します。この作品に完結前に出会い毎回更新を楽しみにし完結まで読ませていただいた読者です。本日この作品の一作目から読み返させていただきました。何度読んでも三橋と夢主ちゃんとの関係性にキュンキュンしました。また最初から読み返したいと思います。 (2021年7月3日 18時) (レス) id: 3d1b2a5acd (このIDを非表示/違反報告)
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