伊藤の妹たちの番外編【今日から俺は！！】

クリスマス*13 ページ36

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三橋さんは私を抱き締めたまま、

暫く動こうとしなかった。



私は小さな機械を握りしめて、

ただ呆然と天の川を見つめてる。





三橋「……」

「……」




静かな時間だった。


よくわからないけど、

このまま静かでいてほしかった。



私を包んでくれるこの温もりが、

永遠に続いてほしいと願った。







三橋さん、温かい。


温かくて、優しい。







「…………好きだなぁ」





三橋「……え、」

「……っ?! え、今わた、わたしっ、はぁ?!」





今私なんて言った?!



咄嗟に三橋さんからズザザ!!と
離れて熱くなってくほっぺを押さえる。



やばい。今のはアカン。


ロマンチックなムードに流されて
言ってはいけないことを言った気がする。


ボボボッと容赦なく体中が熱くなって、
溶けてしまいそうだ。

いっそ溶けて消えてしまいたい。




三橋さん絶対引いたよねやばいよねあははははは……




だけど、三橋さんはなぜか商店街の方をぼんやり眺めていた。

その横顔がどうしようもないくらいかっこいい。




どうしたんだろ、と恐る恐る近寄って視線の先を追ってみる。




「あ、ツリーが……」




昼間はただの緑色の大きな木に、

黄色や赤や水色と、カラフルな灯りが灯されていた。


少し離れた位置ではあるけど、

すっごく綺麗。




言葉では表せない、というのはきっとこのことだ。






三橋「すげえな」

「ですね」

三橋「今日カメラ持ってきてねぇの?」

「急いで出てきたので……
今、全力で心のシャッターおしてます」

三橋「なんだそれ」





いつもみたいに、くすぐったそうに笑う。


ツリーの灯りがよく似合ってた。






三橋「いつか本物の星、見に行くか」

「いいですね!」

三橋「寒ぃのは嫌だからなぁー。
行くとしたら夏か」

「嫌ですよ虫多いじゃないですか」

三橋「んじゃぁ秋だな」

「来年になっちゃいますね」

三橋「あぁ」









カメラやボイスレコーダーが無くて良かった。


いつもみたいに操作するのに夢中になって、
見えなかったり聞き逃してたら勿体ないもん。





大丈夫。


私は今日と言う日をきっと、ずっと、忘れないから。







今井「あー!!三橋!!てめぇAさんとデートかぁ?!」

三橋「げっ」

「まだ居たんですかあの人」

三橋「走るぞ、A」

「はい!」









自然と手を伸ばしたら、しっかり握られる。



それだけで私は充分すぎるくらい幸せだった。









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