伊藤の妹たちの番外編【今日から俺は！！】

クリスマス*1 ページ24

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遠くからベルの音が鳴ってくる。

……うん、かなり耳元だね。



ゆっくり目を開けてみると予想通り、
サンタクロースの格好をしたお兄ちゃんが
満面の笑顔で両手のベルを振っていた。




伊藤「おはようA!」

「……おはよ」

伊藤「メリークリスマス!!」

「……メリークリスマス」



念のため時刻を確認してみると、
12月25日のAM04:53。


……はっや。



「何が悲しくてクリスマスに早起きしなくちゃいけないの……」

伊藤「何言ってんだよ〜クリスマスなんだから早起きしねぇと勿体ねぇだろ」

「それ毎年言ってるよね……ふあぁ」



こんな早朝だというのにお兄ちゃんの顔は
ウキウキしている。

楽しみで仕方ないみたいだ。


……まぁ今年は早川さんとデートするって
言ってたし、余計そうなんだろう。




伊藤「ごめんな、毎年一緒にお出掛けしてたのに……」

「全然気にしないで。毎年クリスマスを兄と過ごすのもなかなかなものだから」

伊藤「でもお前、友達いないだろ?」

「……実の妹によくそれ言ったね」

伊藤「夕方には帰ってくるから!」

「……」




なぜ兄が早く帰ろうと意識しているのかというと、

和ましいことに私達兄妹は毎年、
プレゼント交換をしているから。


ぶっちゃけまだ私は買ってないけど、
お兄ちゃんはもう部屋に置いてあるらしい。

さっき部屋の前通ったら扉に
「入るな危険」の紙がびっしり張られていた。



……どんだけ見られたくないのさ。





伊藤「じゃぁ俺、行ってくるから!!」

「っはあ?! まだ5時前だけど?!」

伊藤「待ち合わせが5時半なんだよね」

「ねぇそれ夕方じゃないかな」

伊藤「行ってきます!!」

「……いってらっしゃーい」



まぁ幸せそうだし、いっか。


外は寒いし最悪戻ってくるだろう。




にしても初めてなんだよなぁ。

クリスマスぼっち。


なんやかんやお兄ちゃんがいたから
形的には免れてたけど。




とりあえず商店街に行って、

お兄ちゃんのプレゼントを探しにいこう。



私的にはワックスが良いと思う。

それかウニ。






「あ、せっかくだし……」




私はクローゼットから滅多に着ない
ワインレッドのワンピースを取り出した。


うん。せっかくだし、思いきりお洒落しちゃお。





普段は上下スウェットだけど、

こういう日くらいできる限り可愛くしたほうが

良い気がするし。







そう考えてたら、

ちょっとだけウキウキしてる自分がいた。









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